クラフトリリース
2026.5.14

断食あるいはファスティング体験で見えた景色3〜5日間の日常〜

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断食またはファスティング——気になってはいるものの、イマイチよくわからないため、なかなか一歩を踏み出せない人もいるかもしれません。静岡県・伊豆高原の施設「やすらぎの里」で、4泊5日のファスティングプログラムを受けたフードジャーナリスト/カレーライターの「はぴい」こと飯塚 敦が、その体験を全4回にまとめてお伝えする、ガチの自腹の体験記コラムです。

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施設での日常、日常というには5日間という期間は短いかもしれない。しかし、その短い中で自分にフィットして「日常」と呼びたくなるようなプログラムやアクティビティなどを含めたサイクルができあがった。あくまで自分のペースで参加ができて無理がなく、しかし参加をすると「気づき」をもらえるプログラム。フィジカルな部分とメンタルの部分、両方が満たされるものが多かった。食事も納得できて学びと驚きを感じられた。

学びのプログラム

室内プログラムはだいたいどれも30分ほどのもの。ちょうどいい長さのプログラムで飽きさせない、参加しやすいという印象。どれも堅苦しいものではなかった。

「カラダの瞑想」は寝転がって体を緩めるやさしい瞑想。早朝と眠る前には「朝ヨガ」と「安眠ヨガ」。ヨガというと少し身構える人もいるようだがストレッチとリラックスというイメージのもの。難しいものではなく、朝は体を目覚めさせ、夜は体を緩めて安眠を促すもの。「世界一簡単!お出汁講座」というデモスタイルの料理教室的なものもあった。「食べる瞑想」はかなりいい。食べ方を見つめなおすプログラムで実用的でもある。

「セルフケア(フォームローラー)」はとてもよかった。興味のあったフィットネスツールであるフォームローラーを使って全身のセルフマッサージを行う。自分の体重をうまく使ってやると結構な力が加わりコリの強いわたしには目から鱗の効果があった。帰ったらローラーを注文せねばと決めた。

フォームローラーとタオルが置かれた床の画像

「自分で流す!足もみデトックス」もよかった。興味のあったアジアの足裏マッサージ起源の「官足法(かんそくほう)」という手法で足を自分で揉み、デトックスを促進。これもセルフマッサージだから帰ってからも続けられる。やってみると面白かったのが足裏の血行が良くなってピンク色になったりカサカサしていた足裏がつるりとしたりと、え!マッサージだけでこうなるのか、という驚きがあった。こういうマッサージの大事さを思い知る。思えば足のメンテナンスなどやってきていなかった。かわいそうなことをしていた。

ここで体験して効果が出ると説得力を持って「明日からやろう」という気持ちになれる。「やると変わる」は大きな経験、学びとなる。変わるにはまずアクション。好奇心がなくなると人は死んだも同然というのはそういうことか、と気づく。停滞は危険なことだ。

屋外プログラムでは「トレイルウォーキング」などあって、なかなかに山歩きに近いらしい。50分の所要時間。近くの遊歩道を歩く、となっているが岩場を歩くのでしっかりした靴を履いた方がいいらしい。自分で見極めて自信がなかったら遊歩道入り口で引き返すことも可能。途中でやめてもいいんだよ、という提案が記載されているのは安心感がある。朝の「周辺ウォーキング」や「森の散歩」などハードにならない散歩程度の気楽なプログラムも毎朝ある。参加したら気分が良く楽しかった。朝、少し体を動かすのはとてもいい。

施術プログラム

いわゆるマッサージのプログラムだ。プロの先生が施術を担当してくれる。カウンセリングもあって質問もできる。

初日、館内ツアーで施設見学の後に時間の指定をもらい地下の施術室へ。ここで担当の先生と短い面談があった。病歴、飲んでいる薬のことなど聞かれる。現在の体の状況なども聞かれるが、これは自分のからだをこれからお任せするにあたって、安心感につながるな、と感じる。

そのあと体重と体脂肪などを測定する。5日分の書き込みができるチェック表ももらった。これは任意で自分で書き込むもの。風呂に体重体脂肪計が設置されていてセルフで自由に計測できる。そうか、体重も減るのだろうな、とここで改めて意識させられたのが面白かった。減量が目的ではないのだ。結果として痩せるというだけのこと。

施術は4種の内容を1日2種、2日間という形で受ける。マッサージとカッピング。腸揉みもやってもらった。とてもリラックスできてとてもよかった。施術の先生の気遣いもあり、安心してお任せができた。オプションで宿泊費に含まれているマッサージ以外のマッサージも頼める。ここで出会った何度も来ている宿泊者さんにゴッドハンドの名前を教わったりもできた。ネットを介さないコミュニケーションはやはり大事だなあ、としみじみ思う。

入浴

館内風呂を内側から撮った画像

とにかくいつでも風呂に入れるのはよかった。実際は1日1回か2回であったが「いつでも入れる」というのは気持ち的にも余裕が出てリラックスにつながる。何かきつかったら、気分を変えたかったら風呂に入ればいいなあ、という気分。そして予約制の露天風呂がかなりご機嫌なのだ。

露天風呂、着替え場を出ると本当に3方が丸空きの青天井。もちろんついたては多少あるがパンツを脱ぐのがちょっと不安になるくらいの解放感がある。ここから伊豆の海を独り占めできるのだ。向こう側には伊豆大島の姿が見え、貨物船などが行き交っているのを眺められる。一人用のサウナも用意されており、言うことがない。もちろん水風呂も抜かりなく用意されている。

予約のいらない個室風呂は昼間に入ると窓の外に緑が見えて心地が良い。もうひとつの男湯は2人程のキャパシティでこちらも予約いらず。ただし断食中なので長風呂とサウナでの無理はいけない。ほどほどに。

食事

断食中の豆乳の味噌汁の画像

食事が気になるひとも多かろう。

1日目:断食1日目 夕食 具なしお味噌汁 22kcal

2日目:断食2日目朝食 人参ジュース  51kcal
2日目:断食2日目夕食 豆乳のお味噌汁

3日目:回復食3日目朝食 

回復大根の食事の画像

回復大根(大根の昆布だし煮) 自然味噌 たたき梅 醤油麹
人参シャーベット(リンゴ、レモン汁)

3日目:回復食3日目夕食 
薬膳粥(黒米、きび、ハト麦、小豆、クコの実)
豆腐の味噌汁(カツオ サバ イワシ節 昆布 自然味噌 麦味噌 玄米味噌)
大梅

4日目:回復食4日目朝食 
玄米のリゾット(大根、人参、じゃこ)
キャベツの煮物(二番だし、揚げ)
豆乳ヨーグルト

4日目:回復食4日目夕食 養生ごはん 
三点盛(菜の花のお浸し 有機人参のラペ 白ごま豆腐)
お吸い物(生麩三つ葉)
五目中着とカブ、フキの煮物(豆腐 椎茸 人参 クコの実 油揚げ 干瓢)
白和え(春菊人参こんにゃく)
グリーンピースで飯(五分付き米もち米)
パプリカの甘酢漬け
よもぎ豆腐白玉(黒みつ茹で小豆)
ほうじ茶

5日目:回復食5日目朝食 養生館の朝食「健康@干物定食」

回復食5日目朝食の画像

寝かせ玄米
お味噌汁(豆腐、地のり、ネギ)
自家製糠漬け
山幸さんの鯵の干物(大根おろし)
すき昆布の煮物(人参、揚げ、椎茸、じゃこ)
おかゆパン(レーズン、大根、人参)
季節の果物
甘夏ゼリー

読んでおわかりの通り、完全な断食(水分は摂れる)は入館前夜から始まっての2日間。朝食と夕食の時間に固形物なしのスープやジュースがいただける。3日目から回復食ということで、ゆっくりと消化の良い固形物が増えていく。噛み締めて食べるという行為の尊さを思い知る。4日目の夕食や5日目の朝食はきちんとしたもので、伊豆の地のものの野菜や魚などが使われた繊細でおいしいものをいただいた。からだ中に行き渡る感覚がとても新鮮で楽しい。

食事以外のからだに入れるもの

豊富に用意されているお茶の画像

お茶がとにかく豊富に用意されており、お茶が好きでのべつまくなしにお茶を飲むわたしには天国だった。館内の廊下や施術室、大広間など要所要所にお茶ポイントがある。部屋にポットが用意されており、それを飲み切ったらお茶補充を自由にできるのだ。自前で持ってきたサーモボトルにいただくのもオーケー。

基本のお茶はハブ茶で自由に補給できる。大広間は食堂兼用だがそこには電解イオン水の常温水、梅湯、生姜湯などが置いてある。生姜湯は甘いものなので断食という環境下で気がまぎれる人もいるだろう。日替わり茶という嬉しいサービスもあって、国内産野草ブレンド茶、あずき茶など楽しめる。

この大広間には冷蔵庫があるのだが、断食メンバー専用の固形食料があるのだ。1日1個のみ、どんなタイミングでも摂食可能。梅干しだ。しょっぱくて酸っぱくて強い味。腹にためるというのではなく口の寂しさの解消だと思う。

お茶がいつでも飲めるのは本当に嬉しい。ただこのハブ茶、利尿効果が著しくなかなか忙しくなる。それもなんだか面白い。からだがダイレクトに反応しているのが興味深いのだ。そうか、利尿効果ってこんなにわかりやすく効果が見えるのか、と自分のからだに興味が湧いたりする。

早朝7時45分という時間に提供される朝の日替わりドリンクというのもあった。食堂のカウンターに出してくれるがポットサービスではないので寝坊するとありつけない。生姜紅茶、豆乳甘酒、寒天オリゴ糖ドリンクや季節の酵素ドリンクなど楽しかった。朝の散歩帰りなど早朝プログラムが終わるタイミングで提供される。

プログラムやアクティビティ、入浴とマッサージと食事。どれもなるほどというバランスがあって、その裏打ちとしての効果や理由などが感じられる。そういうものを自分で納得できるという部分がここを訪れる価値なのではないだろうか。

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もっと知りたいあなたへ

やすらぎの里
https://y-sato.com/

本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。

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