クラフトリリース
2026.5.11

古来より現代にまで続く伝統的な大宰府名物・梅ヶ枝餅を食べてみる

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歴史と文化の街・大宰府 

福岡の玄関口・博多駅から福岡が誇る西鉄グループの太宰府ライナーバス「旅人(たびと)」に揺られること40分。

たどり着いたのは福岡県太宰府市、西鉄太宰府線の終点・太宰府駅。駅舎は太宰府天満宮を模した社殿風のデザインとなっており、朱赤の建物はまるで平安時代の昔にタイムスリップしたかのよう。駅から徒歩5分ほどのところにあるのは九州最大級の神社・太宰府天満宮。学問の神様である菅原道真を祀っており、全国に約1万2000ある天満宮の総本社として知られている。

受験シーズンには全国から受験生はもちろん、親族までもが合格祈願に訪れる。また、正月の三が日には年間の参拝者の約4分の1となる200万人以上の人々が訪れて賑わっている。

バスを降りると目の前には参道が広がっている。参道は約350m続き、石畳の道の両側に軒を連ねる飲食店や土産物店は活気に満ち溢れ、参拝前後に多くの参拝客がその活気に触発されて店を覗いたり買い物を楽しんだりしている。この参道の建物は、かつて1階で商売、2階で宿をしていた名残で「町屋」と呼ばれる昔ながらの景観が残っている。大宰府名物・梅ヶ枝餅(うめがえもち)もここで販売されており、この参道と周辺地域で30軒以上の店が立ち並ぶ。それぞれの店で少しずつ味わいが違い、食べ比べるのも楽しみの一つだ。

太宰府の歴史

太宰府天満宮の楼門の画像

太宰府天満宮について語るうえで忘れてはならないのが菅原道真(すがわらのみちざね)だ。

菅原道真は大変優秀な人物だったため、宮廷の学者の家系に生まれながらもその才能を認められて宇多天皇に重用され、右大臣にまで上り詰めるという異例の出世を遂げた。

しかし、それが周囲の反感を買い、大宰府へ左遷させられてしまう。そして太宰府での苦しい生活の末、2年後に亡くなった。

道真は「自分が死んだら、なきがらを牛車で運び、止まったところを墓にせよ」という遺言を残していた。遺言に従いそのなきがらを牛車で運んでいたところ、牛がある地点で動かなくなった。門弟たちはこれを菅原道真の遺志だと考え、その場所に墓所が作られた。それがこの太宰府だったといわれる。

菅原道真の死後、京の都では天皇と貴族の集う宮廷の清涼殿に雷が落ち、道真の左遷に関わった人々が次々に亡くなっていった。相次ぐ災いが菅原道真の祟りだと噂され、恐れられた。そして、鎮魂のために菅原道真を天神様として祀り、墓所に神社が建立された。これが太宰府天満宮の創建の縁起とされており、今でも本殿の真下に菅原道真が眠っている。

太宰府の歴史ある和菓子「梅ヶ枝餅」

焼きたての梅ヶ枝餅を手に持っている画像

参道を歩いているとあちこちからふんわりと香ばしい香りが漂ってくる。太宰府名物・梅ヶ枝餅だ。店の多さに圧倒されながらも体が自然とお店に引き寄せられる。出来立てを受けとると見た目以上にずっしりとした感触に少し驚く。表面はきつね色にこんがりと焼けており、花の形の梅紋がつけられている。思いっきりかぶりつきたくなるようなワクワク感がたまらない。

一口食べると中から柔らかいあんこが現れる。砂糖と塩で味付けされたシンプルなつぶあん。甘さとしょっぱさが調和し、優しいながらもしっかりとした味わいとなっている。もち米とうるち米をブレンドした生地は外側が香ばしく固めに焼きめがついて、内側はもっちりとして食べ応えがある。生地の素朴さがあんこを優しく包み込み、心がそっとほぐされる。参拝後の冷え切った身体を、カイロのようにあつあつの梅ヶ枝餅が芯から温めてくれる。

ところで、実は梅ヶ枝餅に梅は入っていないことをご存知だろうか。ではなぜ梅ヶ枝餅というのだろうか。由来には諸説あるが、大宰府に左遷され、食べるものにも困っていた菅原道真を不遇に思って見かねた当地の老婆(浄妙尼:じょうみょうに)が梅の枝に餅を刺して差し入れたのが始まりだという。 

よもぎ入りの梅ヶ枝餅の画像

そんな歴史ある餅菓子の梅ヶ枝餅。今では店ごとに個性豊かな梅ヶ枝餅が出迎えてくれる。

毎月17日の「きゅーはくの日」には古代米入りの紫がかった梅ヶ枝餅が販売されている。九州国立博物館・通称「九博(きゅーはく)」の開館10周年を記念して2015年に販売されたのがきっかけだ。また、菅原道真の誕生日6月25日と月命日2月25日にちなみ、毎月25日の「天神さまの日」には、よもぎ入りの梅ヶ枝餅が販売されているのも見逃せない。

太宰府を訪れた際は、菅原道真と大宰府の歴史に思いを馳せながら、梅ヶ枝餅を片手に昔ながらの街並みを散策してみてはいかがだろうか。

ライター:九州大学 工学部 原 

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もっと知りたいあなたへ

太宰府天満宮
https://www.dazaifutenmangu.or.jp/
西鉄グループ 太宰府ライナーバス「旅人」
https://www.nishitetsu.jp/bus/rosen/dazaihu_liner/

本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。

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