愛媛といえば――まず浮かぶのは、やっぱり柑橘だ。みかんの県、ではなく「柑橘の王国」。 温州みかんの安心感から、香りで驚かせる中晩柑(ちゅうばんかん:1月〜5月頃の年明けから春にかけて出荷される、温州みかん以外の柑橘類の総称)、食感で勝負する新品種まで、同じ県内で次々に主役が入れ替わっていく。旬のカレンダーが1枚の地図みたいに見えて、季節が進むほどに選択肢が増えるのも愛媛らしい。旅先で果物売り場を覗く楽しみが、ここにはある。 そして3月。冬の終わりと春の入口が重なるこの時期は、柑橘が「終わる」のではなく、「味の方向が変わる」。濃厚な甘さの余韻を引きずりながら、香りの軽さや果汁の爽快さ...