地方で「ちょっと手伝って」と言われたとき、その「ちょっと」は、時間の長さを表していない。 作業の軽さを表している。 「ち...
地方で「ちょっと手伝って」と言われたとき、その「ちょっと」は、時間の長さを表していない。
作業の軽さを表している。
「ちょっと手伝って」は、「難しくない作業だから、気軽にやって」という意味だ。
時間がかかるかどうかは、別の話。
草刈りを「ちょっと手伝って」と言われて行くと、3時間草を刈り続けることになる。
でも草刈り自体は「ちょっと」した作業だから、嘘はついていない。
「ちょっと荷物運んで」も同じだ。
荷物の数が2個とは限らない。
20個運ぶことになっても、一つ一つは「ちょっと」だから、問題ない。
地方の「ちょっと」には、心理的負担の軽さが込められている。
「大変なことを頼んでいる自覚はあるけど、気軽に引き受けてほしい」という、
依頼者の遠慮と期待が、同居している。
そして「ちょっと手伝って」と言われて行くと、必ず、予定外の展開が待っている。
手伝いが終わったら、お茶に誘われる。
お茶を飲んでいたら、別の用事を頼まれる。
その用事をしていたら、昼ごはんになる。
「ちょっと」が「ちょっと」で終わることは、ない。
【取扱注意点】
・「ちょっと」は時間ではなく、難易度を表す
・午前中に呼ばれたら、昼ごはんまで想定する
・作業着で行く。オシャレは不要
・手伝った後の「お茶」はセット。断らない
・次回、自分が「ちょっと手伝って」と言う権利が発生する
地方の「ちょっと手伝って」は、互助システムの入口だ。
手伝うことで、手伝ってもらえる権利を得る。
この「貸し借り」が、地方の人間関係を回している。
「ちょっと」は、軽さの演出であり、
関係性を壊さないための、言葉の潤滑油なのだ。