地方で「知らない人がいない」人と一緒に歩くと、移動時間が倍になる。 スーパーまで徒歩5分のはずが、10分かかる。 途中で...
地方で「知らない人がいない」人と一緒に歩くと、移動時間が倍になる。
スーパーまで徒歩5分のはずが、10分かかる。
途中で3人に声をかけられるからだ。「あ、◯◯さん」「お久しぶり」「元気?」。
毎回立ち止まって、会話が始まる。
スーパーの中でも、2人に会う。レジで1人。駐車場でまた1人。
5分の道のりが、結局30分になる。
会話の内容は「最近どう?」「体調は?」「息子さん元気?」。
情報交換である。
車で移動しても同じ。信号待ちで隣の車の人と目が合う。
窓を開けて会話が始まる。「どこ行くの?」「ちょっとそこまで」。
信号が青になっても、後ろに車がいなければ、会話が続く。
最初は「時間かかりすぎでは?」と思った。
でもこの人、急いでいない。急ぐ用事がないわけではない。
でも、人と会うことの方が優先される。
移動は手段、会話が目的。
ある日、理解した。この人にとって、移動時間は無駄ではない。
移動しながら情報を集め、関係性を維持し、地域の状況を把握している。
30分の移動が、30人との接点を作る。
「知らない人がいない」人は、移動しながらネットワークを張り巡らせている。
時間がかかるのは、仕事をしているから。地域の情報網を、足で稼いでいる。
効率的かどうかは別として、この人がいるから地域が回っている。