朝市とは何か——「市場」ではなく「生活の現場」 夜が明けきらないうちから、人の気配が集まりはじめる場所があります。まだ眠気の残る空気の中で、魚が並び、野菜が積まれ、湯気の立つ惣菜が香りを放つ。朝市とは、単なる「早朝のマーケット」ではありません。そこには、その土地で暮らす人々の時間の流れと、生活のリズムそのものが表れています。 西日本における朝市の多くは、海と密接に結びついています。夜のうちに水揚げされた魚が、そのまま朝の市場に並ぶ。港町の朝市は、流通の「最短距離」ともいえる存在です。鮮度の高さはもちろんですが、それ以上に印象的なのは、売り手と買い手の距離の近さでしょう。「今日はええの入っとるよ...