伊勢神宮を訪れたことがある人なら、あの小豆餡の和菓子を目にしたことがあるはずだ。おはらい町の参道に立つ本店、そして内宮前の支店。本店では海老茶色の暖簾(のれん)が揺れる店先には、いつも人の列ができている。波のような筋が入った餡、その下に隠れた柔らかな餅。シンプルだが、一口食べると、なぜか伊勢に来たという実感が湧いてくる。 伊勢名物の赤福。 この菓子は、300年以上も前から、基本的には同じ場所で同じ製法で作られ続けてきた。観光地によくある「昔ながらの味」をうたう商品は数多いが、本当に江戸時代から変わらぬ伝統を守り続けているものは、そう多くない。なぜ、この一品だけが、時代を超えて愛され続けているの...