マタギ料理から家庭料理へ。新米の季節に欠かせない保存食の知恵と囲炉裏文化 秋田の冬は厳しい。雪が降り積もり、外の世界は白一色に染まる。そんな寒い夜、囲炉裏を囲んで家族が集まり鍋を囲む。湯気の向こうに見えるのは、棒状に焼かれた餅のようなもの。それを比内地鶏の出汁で煮込み、セリやゴボウと一緒に食べる。体の芯から温まる、素朴だけど滋味深い味わい。これが「きりたんぽ鍋」だ。 でも、なぜ米を潰して棒状に焼くのか。なぜ「たんぽ」という名前なのか。この料理には、秋田の厳しい自然環境とそこで生きてきた人々の知恵が詰まっている。単なる郷土料理ではない。その起源には諸説あるものの、山での携行食から家庭の団らんを彩...