断食あるいはファスティング体験で見えた景色(1)〜事前情報と心構え〜
「断食」-皆さんはこの言葉にどんなイメージを持つだろうか。では「ファスティング」はどうだろう。どちらもともに、一定の期間自主的に食べ物を摂らず過ごす行為。主に胃や腸などの消化器官を休ませ、毒素の排出や腸内環境のリセットなどを目的とするもの。とはいえその意味の捉え方は人それぞれで、調べるとなかなか面白い。
宗教というジャンルでは、からだを含めた心の浄化を目的とした断食というものがある。宗教ではなく民間医療として捉える考え方もあるようだ。わたしには仕事を通して知り合ったムスリムの知人が何人かいるのだが、それもあってラマダーン(断食月)への興味がありその内容も聞いていた。教義に従うところなのだが、「食べず、欲せず、心静かに」というところに根っこがあるとのことでとても共感ができるものだった。
そして要するにわたしは痩せたかった。それも強くあった。そんなに簡単に痩せないだろうという諦観もあった。
機会をもらって伊豆高原の「やすらぎの里 養生館」に4泊5日の断食とリセットのプログラムを受けるためにやってきた。春の嵐という様相の強風と雨の伊豆高原駅。迎えのバスがやってきた。
機会をくれたのは友人だ。わたしのことをよく考えてくれる友人が声をかけてくれた。半年以上にわたってメンタルと体調の不良が続いていたわたしを気遣ってくれてのこと。
自分でも最近「不要な間食を止めること(からだ)」と「部屋の不要品などの一掃、整理(こころ)」あたりが大事なのではないかと思い至っている。そういうものはメンタルに強くつながっている。心と同時に「フィジカルなものの再始動」も意識し始めていた。汗をかくクセや体を動かす楽しさなどをもう一度思い出さなければ。そんなことをぼんやり考えているところに思いもよらず、断食の話をもらった。
施設概要と宿泊日数

「やすらぎの里」は静岡県伊東市八幡野(やわたの)、いわゆる伊豆高原に3館の施設が点在するリトリート・ファスティング施設。心と体の調整を行う場所、と捉えている。体験を終えてそれは確信に変わった。
施設は本館、養生館、高原館とあって、それぞれ別の立地、宿泊期間とプログラムが用意されている。
本館は長期滞在の時間を捻出できる人にフィットする。6泊7日で徹底的に心身をリセットするプログラムが受けられる。高原館は週末専用のファスティングプログラムが用意されている。木曜スタート3泊と金曜スタート2泊のプランが選べるので忙しいビジネスパーソンが週末を有効に使ってリセットするのによいのではないか。
そしてわたしが参加した養生館は水曜スタートの4泊と、同じく水曜スタートで2泊、金曜スタート2泊というプランから選択ができる。わたしは水曜スタートの4泊を試すことになった。初めての「断食・ファスティング」ということで慎重になっていたが、この施設のホームページと申し込み時に教えてもらえる前準備のページを見ると、自宅での食事や睡眠のコントロールの方法が詳しく書いてあり、安心感を持ってスムーズにファステングへ進めたと感じている。
宿としての「やすらぎの里」とプログラムの流れ
ホテルとは少しニュアンスが違うこの施設。和風の作りで靴を脱いで絨毯が敷き詰められている館内を裸足で歩く。ホテルより旅館寄りだろう。裸足で歩けるというのはリラックスにつながっている感覚があって気分がいい。リネン室は開放されており、好みで1日1回、自分でそこからシーツを持って行って取り替える(入館時はセットされている)。歯ブラシなどのアメニティもそこから自分で準備。廊下の幅は細めで扉の間口はタイト。部屋にバス、トイレがない代わりに洗面台などが廊下にあったり(部屋にもある)する光景はなんとなく下宿屋などのレイアウトに似ている。
ああ、そうか、この感じ。ピンと来た。ここは現代の湯治場か。そういうことか。デトックス、ファスティング、セルフのルームセッティング。なるほどそうだ、それらを内包してのリトリート。それは湯治場ではないか。ゆっくり時間を使ってからだを緩めてやる場所なのだ。いろいろと合点がいく。そして現代の湯治場は極めて快適。だったらとにかく風呂に入ってからだを緩めよう。
4泊5日、ファスティングプログラムの流れ

4泊5日の投宿中の流れはこんな感じ。
1日目:到着。館内ツアーと問診、説明会、断食1日目(前日20時より固形物摂らず)
2日目:マッサージ施術2種、断食2日目(具のない味噌汁等)
3日目:マッサージ施術2種、回復食1日目(お粥からスタート)
4日目:ドライブ/みかん狩り、回復食2日目(おかず類も増えた和食)
5日目:終了日。チェックアウト。回復食最終(きちんとしたおいしい和朝食でボリュームもある)
という流れ。
ここにヨガ、セルフケアや瞑想など各種プログラムが折々に入り(自由参加)、早朝の散歩などのプログラムも。入浴も自由で、最上階の露天風呂のみ予約制となっていたが、通常の風呂は深夜帯以外はいつでも入れる。プログラムの自由度や入浴で自分の思い通りに過ごせるのはメンタル的にもとてもいい影響があると感じる。
プログラムや食事の時の適度な距離感とリラックス、インストラクターの先生の上手な導きで、参加者と自然におしゃべりができたりするのも楽しかった。断食という共通の話題と目標を持ってやってきた参加者たちだから情報交換などもはかどって楽しいのだ。年齢層も40〜60代が多く、大人の余裕ある人々なので穏やかにコミュニケーションができるのは安心感があった。
断食への不安
断食の1番の心配事はやはり「空腹」。果たしてわたしは空腹を我慢できるのだろうか。そういうところから修行的なものになったりしないだろうか。断食という言葉がどうもわたしの中では試練や修行という言葉と結びついてしまう印象があった。しかしここは修行の場でもなければ監禁でもない。扉はいつでも開いており、歩けば駅前まで30分だ。
そんな中、「おやっ?」と思わせてくれる説明があった。「実は、断食中に一番辛いのは「空腹」ではないんです」とある。本当に辛いのは、頭痛や吐き気といった「断食反応(好転反応)」なのだそうだ。なるほど、そういうものがあるのか。一番辛いとされる「好転反応」をどう攻略するかが鍵ということ。そこで「準備食」というのを知った。
「断食を辛い修行にせず、最高のデトックス体験にするための「正しい準備の仕方」について、具体的にお話しします」と、こちらの心を見透かされたような言葉がホームページに出てきてきまりが悪かったり、驚かされたり。創業30年の歴史は伊達ではないということか。
さて、断食という初めての体験がはじまる。
―――
もっと知りたいあなたへ
やすらぎの里
https://y-sato.com/
本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。