クラフトリリース
2026.8.5

大学を4休1留した私が、就労移行支援事業所を利用してプログラマとして就職できた話(前編)

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私は発達障がいを持っており、IT企業でプログラマとして働いている。今回、ご縁あってこのKURAFTにコラムを書かせていただくことになった。発達障がいの一当事者として、就職に至るまでの体験談と、仕事に関する所感を書いてみようと思う。

はじめに

いきなり湿っぽい話になるが、私は大学の学部を、4休1留で卒業している。
大学入学直後、1回生の前期の履修でつまずき、1単位を除いて履修した授業を全て落単している。大学生になると高校生の時と比べて自立的に動く機会(レポートの提出、教室移動etc.)が増えるが、その大学生活に上手くついていけなかったのが原因で、体調を崩した結果4年間休学することになってしまった。
その休学中に、自分が発達障がい(正確には、自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動症(ADHD))であることを知り、復学後は大学の学生支援課の支援を受けながら(単位不足でさらに1年留年したものの)無事に学部を卒業することができた。

就職活動での挫折

履歴書で表す就職活動イメージ画像

学部卒業後は興味のある研究を行っていた、他の大学の大学院修士課程へ進んだ。
修士1年も終わりが近づいたころ、支援をしてくれていた障がい学生支援室や教授の勧めもあって、就職活動を行うことになった。元々小さいころからパソコンを使ことのが好きで、修士論文に載せる研究で簡単なプログラミングを行った私は、プログラマという仕事に興味を持っていた。このため、就職活動もIT業界を中心に志望することとした。
ところが、この就職活動が上手くいかなかった。
私は発達障がいの特性、暗黙のルールが分かりにくい(特にルールが明文化されていないと不安になりやすい)特性があるのだが、就職活動のスケジュール感や就活マナーを理解できていなかった。加えて、細かいことにこだわる特性もあって、応募するIT企業を選定する際にも勤務内容や勤務先、職場環境が気になってしまい、企業研究にもいちいち時間を費やしてしまう状態であった。
結果として、他の就活生は内定をもらえている頃に、まだエントリーシートを書いている状態だった。今振り返れば、就職活動のスケジュール感がつかめていなかった上に、自分のペースを就活のスケジュールに上手く合わせられていなかったのかもしれないと感じている。そんな状態で何社かに応募はしたものの、ことごとく書類選考に落ちてしまう。さらに就職活動に修士論文の執筆作業も加わった結果、体調を崩してしまい、結局就職活動を中断せざるを得なくなってしまった。
どうにか修士論文を書き上げ、修士課程を卒業することは決まったものの、卒業後に改めて就職活動を行う必要があった。そんなとき、障がい学生支援室から卒業後に就職活動を行うにあたって、就労移行支援事業所へ通うことを勧められて、自分に合った事業所を探すことにした。

就労移行支援事業所へ

植物を取り入れた開放的なオフィス画像

就労移行支援事業所は、障がいを持つ人が一般企業へ就職を目指すための支援機関である。就職活動や就職後を見据えて、様々な訓練や面接練習などを行う。
就労移行支援事業所は私が住む大阪府内でも数多くあったが、私の場合は就職活動の軸でもあった「プログラミング」ができる事業所を探した。その結果、大阪市内にプログラミングができる事業所があったので、そこに体験利用をしてみることにした。
体験利用では、初歩的なプログラミングを行った。大学院の研究で簡単なプログラミングをしていたとはいえ、本格的にプログラミングに触れたのはこれが初めてだったが、このプログラミング体験に夢中となった。それまでは心のどこかで、プログラミングが自分に合っているかどうか不安でもあったが、この体験利用を通してプログラミングが自分に合っていると確信し、この事業所に通うこととにした。
事業所を利用し始めてから、まずプログラミングを学習した。「好きこそものの上手なれ」とは言うものの、まさに興味を持った物事にはとことん追求するという、発達障がいの特性が、上手く良い方向に作用したのだと感じている。
事業所の職員もそんな私を見て、訓練の一環として行われた、事業所利用者有志によるスマートフォンのアプリ共同開発に参加を勧めてくれた。そのアプリ開発で、私はリーダー役を任せられ、他の利用者とのコミュニケーションを取りながら、1つのアプリを完成させることができた。
また、プログラミングの学習だけではなく、就活を見据えて、ビジネスマナー講座やソーシャル・スキル・トレーニングなどにも参加した。そこで初めて気づいたのは、就職活動への「下地」は、既に十分にあったということだった。大学院生の就職活動では自信を持てていなかったが、訓練や練習を重ねることで、ようやく就職活動に対して自信をもつことができるようになった。

事業所に通い始めてから1年ほど経って、就職活動を始める前に、企業実習を行うことになった。実習とはいうものの、実際の企業に向かうということもあって少し緊張した。
実習先として、2つの会社でお世話になった。一つは事業所と同じビルに入っているIT企業。実はこのIT企業は、事業所を運営する親会社であり、それゆえ事業所との情報連携が上手く行われていたので幾分安心できた。ここの実習では、実際に社内のプログラマが製作したシステムの動作確認テストを行った。かなり大規模なシステムで、試験項目も相当数あったものの、現役のプログラマである社員さんや実習担当者に適宜質問や相談をしながら、実習期間中に、無事全ての試験を終えることができた。
もう一つは大手鉄道会社の系列の特例子会社である。こちらの仕事はプログラミングというよりかは、新品の社用PCの設定や、廃棄する社用PCのデータ削除といった業務を実習で行った。緊張はしたものの、実習を通して、PCを使った業務はプログラミング以外にも数多くあることを認識した。また、この特例子会社では、発達障がい以外にも、身体・視覚・聴覚・精神など、様々な障がいを持つ方が働いており、障がい者の多様性を、肌で感じることができた。

いざ、就職活動…と思ったら

雇用契約書の雛型が置かれている画像

数か月に渡る実習が終わり、いよいよ本格的に就職活動を開始することとなり、面接練習やエントリーシートの作成を始めようとしていた。
そんな矢先のことであった。なんと実習先だったIT企業から、採用の連絡を戴いた。実習での評価が高く、ぜひとも採用したいとのことであった。
就職活動では書類選考や面接を経て入社するものだという固定観念があった私にとっては、就職活動を始める矢先の採用連絡は、まさに「青天の霹靂」であった。しかし裏を返せば、実習での頑張りや実力を見てくれていたのだと感じた。しかも、職場の雰囲気は既に実習で知っている。さらに実習先の社員とは、実習を通して既に顔見知りである。私はこうして、事業所に通ってから1年半ほどで、念願だったIT企業へ、プログラマとして入社することができた。

(後編へ続く)

ライター:O.T.

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