2026.6.10
真面目に不真面目な地方論 「地方の『ちょっと寄ってって』の本気度」
地方で「ちょっと寄ってって」と言われたら、それは社交辞令ではない。
本当に寄らないと、次に会ったときに「あのとき来なかったよね」と言われる。
しかも覚えているのは本人だけではない。その親戚も、近所の人も、なぜか知っている。
地方の「ちょっと」は、ちょっとじゃない。
玄関で済むはずが、「まあまあ、上がって」と座敷に通される。
お茶が出て、お菓子が出て、季節の果物が出て、
気づけば「ご飯食べてく?」という提案が自然に生まれている。
断ると失礼。受け入れると予定が消える。
でもここで断ると、次に会ったときの気まずさが、
次の10年を支配する可能性がある。
だから地方の人は、予定を詰め込まない。
いつでも「ちょっと寄る」ための余白を、カレンダーに残している。
この余白が、人間関係を滑らかにする潤滑油になっている。
都会では効率、地方では余白。
どちらが豊かかは、誰にも決められない。
ただ、地方の「ちょっと」には、確かに温度がある。