2026.5.11
真面目に不真面目な地方論「地方で『東京から来た人』と言われ続ける期間」
地方に移住して5年。まだ「東京から来た人」と紹介される。
10年経っても、「元は東京の人」と言われる。
結婚して、子どもが生まれても、
「お母さんは東京の人だから」と言われる。
地方では、生まれた場所が、一生のラベルになる。
移住は、属性の変更ではなく、属性の追加なのだ。
「ここに住んでいる人」ではなく、
「東京から来て、ここに住んでいる人」。
これは排除ではない。むしろ、興味と期待の表れだ。
「東京の人は、どう思う?」と聞かれる。
地元の人が気づかない視点を、期待されている。
でも、ずっと「外の人」でもない。
祭りに参加すれば、ちゃんと役割が与えられる。
草刈りに呼ばれるし、回覧板も回ってくる。
「東京の人」と言われながら、確実に内側にいる。
そしてある日、新しい移住者が来る。
そのとき初めて、自分が「こっち側」にいることに気づく。
「あの人、東京から来たんだって」と、自分が言っている。
地方では、「地元の人」になるのに、一世代かかる。
でもそれでいい。
急いで溶け込むより、ゆっくり根を張る方が、
地方では信頼される。
「東京から来た人」というラベルは、
名刺代わりであり、役割でもある。
それを外す日は来ないかもしれないけれど、
外さなくても、ちゃんとここにいられる。