地方の取扱説明書 地方の『ついでに』の取扱い方
地方で「ついでに」と言われたとき、それは、本当についでではない。
「ついでに寄ったから」
と言って訪ねてきた人は、本当は、わざわざ来ている。
でも「わざわざ」と言うと、相手が恐縮する。
だから「ついで」という、軽さを装う。
地方の「ついで」は、気遣いの表現だ。
「ついでに買ってきたよ」
と言って渡されるものは、
ついでに買ったわけではない。
「あの人、これ好きだったな」
と思い出して、わざわざ買っている。
でも「わざわざ」と言うと、相手が気を遣う。
だから「ついで」と言う。
この優しい嘘が、地方のコミュニケーションを、滑らかにしている。
「ついでに直しといたよ」
「ついでに見といたよ」
「ついでに聞いといたよ」
全て、ついでではない。
ちゃんと時間を使って、やってくれている。
でも「ついで」と言うことで、お礼の重さを、軽くしている。
「ありがとうございます」
「いやいや、ついでだから」
このやりとりが、恩着せがましさを、消している。
【取扱注意点】
・「ついで」と言われても、本当はついでじゃないと理解する
・感謝は、きちんと伝える。「ついで」でも、ありがたい
・自分も「ついで」を使う。「わざわざ」より、気楽に受け取ってもらえる
・「ついで」の連鎖で、関係性が深まる
・「ついで」は、恩を売らない文化の表現
地方の「ついで」は、見返りを求めない、優しさの形だ。
「あなたのために」と言わずに、
「ついでだから」と言う。
この控えめさが、地方の美徳なのだ。
「ついで」は、負担をかけない配慮であり、関係性を重くしない、
バランス感覚なのだ。
「ついで」と言われたら、その裏にある、
「あなたのために」を、感じ取る。
そして自分も、誰かのために、「ついで」をする。
この「ついで」の連鎖が、地方の、見えない支え合いを、作っているのだ。