クラフトリリース
2026.7.7

七夕に竹を飾るのはなぜ? 誰かに話したくなる「七夕」と「竹」の物語

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7月7日は「七夕」であり、竹に親しみ、その文化を広く知ってもらおうと制定された「竹の日」でもあります。子どもの頃、短冊に願い事を書いて笹に飾った思い出がある人も多いのではないでしょうか。

ところで、なぜ七夕には竹や笹が使われるのでしょう。そして、なぜ7月7日が「竹の日」なのでしょうか。

実は七夕は、中国から伝わった星祭りと日本古来の信仰が重なって生まれた行事です。そして、竹は古くから神聖な植物として、日本人の暮らしやものづくりを支えてきました。七夕を少し違う角度から眺めてみると、そこには自然を敬い、季節を楽しみ、願いを未来へ託してきた日本人の知恵が見えてきます。

今回は、七夕と竹にまつわる「なるほど!」と思わず誰かに話したくなる物語をご紹介します。

七夕はどう始まった? 中国から伝わり日本で育まれた夏の行事

富士山と天の川の綺麗な夏の空の画像

七夕と聞くと、多くの人が織姫と彦星の物語を思い浮かべるでしょう。天の川を隔てて暮らす二人が、年に一度だけ7月7日に会えるという伝説は、中国で生まれた「牛郎織女(ぎゅうろうしょくじょ)」の物語がもとになっています。

しかし、日本の七夕は、この伝説だけで生まれたものではありません。中国には、女性が機織りや裁縫、芸事の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」という行事がありました。奈良時代、この文化が日本へ伝わると、日本にもともとあった「棚機(たなばた)」という神事と結び付きます。

棚機とは、乙女が神様に捧げる布を織り、豊作や人々の穢れを祓うための儀式でした。機を織る女性は「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれ、その「たなばた」という言葉が、現在の七夕の読み方になったと考えられています。

つまり、日本の七夕は、中国の星の伝説・中国の乞巧奠・日本古来の棚機信仰という三つの文化が重なり合って生まれた行事なのです。

平安時代には宮中行事となり、梶(かじ)の葉に和歌を書いて技芸の上達を祈る風習もありました。さらに江戸時代になると、寺子屋文化の広がりとともに庶民へも浸透します。子どもたちは文字や習字が上達するよう願い、大人は商売繁盛や家内安全など、それぞれの願いを短冊へ込めるようになりました。

現在でも、願い事を書く風習が受け継がれているのは、この頃の文化が今につながっているからなのです。

なぜ笹や竹に願い事を飾るの? 竹に込められた意味

いろいとりどりの七夕飾りの画像

七夕といえば、色とりどりの短冊が揺れる笹飾り。

実は、この竹や笹にも古くから特別な意味が込められていました。竹は真っすぐ天へ向かって伸びる植物です。成長が早く、節を持ちながら折れにくい姿から、生命力や繁栄、まっすぐな心の象徴として大切にされてきました。さらに、日本では竹や笹は神様が宿る「依り代(よりしろ)」として考えられてきました。

神社の祭礼で青竹が立てられたり、地鎮祭で竹が用いられたりするのも、その名残です。また、笹の葉が風に揺れる音には、神様を招く力があるという言い伝えも各地に残っています。

だからこそ、願い事を書いた短冊を竹へ飾ることは、単なる飾り付けではありません。願いを空へ届けるための、大切な役割を担っていたのです。

七夕飾りにも、それぞれ意味があります。
五色の短冊は、中国の陰陽五行説に由来するといわれています。
  吹き流しは織姫の織り糸。
  紙衣(かみこ)は裁縫の上達。
  折り鶴は長寿。
  網飾りは豊漁。
  巾着は商売繁盛。
昔の人は、ひとつひとつの飾りに願いを込めながら、家族みんなで七夕を迎えていました。

最近ではデザイン性の高い飾りも人気ですが、それぞれの意味を知ると、飾る時間そのものがより豊かなものになるかもしれませんね。

実はすごい植物だった! 日本人が愛してきた竹の力

青々とした竹林の画像

七夕に欠かせない竹ですが、その魅力は神聖な植物というだけではありません。

竹は世界でもトップクラスの成長速度を誇る植物です。
種類によっては1日に1メートル近く伸びるものもあり、「雨後のたけのこ」ということわざの由来にもなっています。地下では地下茎が広く伸び、次々と新しい竹が育ちます。その旺盛な生命力から、昔から子孫繁栄や家の繁栄を願う縁起物として親しまれてきました。

そして、日本人は竹を余すことなく利用してきました。
建築材や足場、農具、漁具、物干し竿、垣根。
竹かごやざる、弁当箱、箸、花器、茶道具。
近年では竹炭や竹酢液、さらにはバイオマス資源としても注目されています。
春にはたけのこが旬を迎え、食卓を彩ります。
まさに「捨てるところがない植物」といわれる理由がここにあります。

一方で、現在の日本では竹林を管理する人が減り、「放置竹林」が全国的な課題となっています。竹は成長が早いため、管理されなくなると周囲の森林へ広がり、生態系や里山の景観に影響を及ぼすことがあります。そのため各地では、竹材を建築や工芸、家具、日用品へ活用しながら、竹林を守ろうという取り組みも進められています。

七夕の日に飾られる一本の竹には、古くからの信仰だけでなく、日本人の暮らしやものづくり、そして未来へつなぐ自然との関わり方まで詰まっているのです。

七夕は地域によってこんなに違う! 全国に受け継がれる個性豊かな風習

仙台七夕まつりの華やかな飾り付けの画像

七夕は日本全国共通の行事と思われがちですが、実は地域によって祝い方はさまざまです。気候や歴史、その土地ならではの文化が重なり、それぞれに個性的な七夕が受け継がれています。

なかでも有名なのが、宮城県仙台市で毎年8月に開催される「仙台七夕まつり」です。豪華な吹き流しが商店街を彩る様子は圧巻で、東北を代表する夏の風物詩として多くの人が訪れます。

「七夕なのに8月なの?」と驚く人もいるかもしれませんが、これは旧暦の七夕に近い時期に開催されているためです。
旧暦7月7日は現在の暦では8月上旬頃にあたり、梅雨が明けて夜空が美しく見える季節でもあります。そのため、北海道や東北をはじめ各地では、現在も8月に七夕行事を行う地域が少なくありません。

神奈川県平塚市の「湘南ひらつか七夕まつり」は、戦後の商店街振興を目的に始まり、現在では色鮮やかな大型飾りが街を埋め尽くします。

愛知県一宮市の「おりもの感謝祭一宮七夕まつり」は、繊維産業で栄えた地域ならではの祭りです。織姫伝説と地場産業を結び付けた催しとして、多くの人々に親しまれています。筆者も幼少の頃、当地に住む叔母に連れられて何度も足を運びました。

七夕は「願い事を書く日」という共通点を持ちながらも、その土地の歴史や産業、人々の思いを映し出す行事として発展してきました。旅先で七夕飾りを見かけたら、「この地域ではどんな願いが受け継がれてきたのだろう」と想像してみるのも楽しいものです。

竹が育んだ日本のものづくり 暮らしに寄り添う伝統工芸

竹細工のかごがたくさん集まっている画像

竹は、古くから日本の工芸を支えてきた欠かせない素材でもあります。
軽くて丈夫、しなやかで加工しやすい竹は、職人たちの技によってさまざまな道具へ姿を変えてきました。

たとえば、大分県の「別府竹細工」は、室町時代に始まったとされ、江戸時代に発展したとされる日本を代表する竹工芸です。竹ひごを一本ずつ編み込み、美しさと実用性を兼ね備えたかごや花器、日用品が生み出されています。

静岡県の「駿河竹千筋細工」は、細く割った竹を精巧に組み上げる繊細な技法が特徴です。江戸時代には虫かごとして人気を集め、現在では照明やインテリアなど現代の暮らしにも取り入れられています。

京都府には、茶道文化とともに発展した竹工芸があります。茶杓や花入、茶筅など、竹は日本の美意識を支える道具として今も欠かせない存在です。

竹の魅力は、使うほどに風合いが増し、修理しながら長く使えることにもあります。大量生産・大量消費が当たり前になった現代だからこそ、自然素材を生かし、長く使い続けるものづくりには改めて注目が集まっています。

近年では、放置竹林の整備で伐採した竹を活用し、家具や建材、雑貨、紙製品へ生まれ変わらせる取り組みも全国で広がっています。地域資源として竹を生かすことは、美しい里山を守ることにもつながります。

一本の竹には、自然環境、伝統技術、地域産業、そして未来への可能性が詰まっているのです。

7月7日は「竹の日」 季節を楽しみ、文化を未来へつなぐ一日に

7月7日が「竹の日」とされている理由は、七夕飾りに欠かせない竹に由来します。
この記念日は、日本書紀の記述や竹取物語の伝説にちなんで、竹への理解を深め、その利用や文化を広く知ってもらおうという願いを込めて、全日本竹産業連合会によって制定されました。

普段の暮らしでは意識する機会が少なくなった竹ですが、日本人にとっては古くから暮らしを支え、祭りを彩り、工芸を育ててきた身近な存在です。七夕に願い事を書くことも、竹細工を暮らしに取り入れることも、地域の七夕祭りへ出かけることも、日本の文化を未来へ受け継ぐ小さな一歩になるのかもしれません。

季節の行事には、ただ楽しむだけではなく、その背景にある歴史や自然、ものづくりを知る面白さがあります。

今年の七夕は、短冊に願いを書く前に、空へ向かってまっすぐ伸びる竹を少し眺めてみてはいかがでしょう。何百年もの間、人々の願いを受け止めてきた竹は、きっと今年も静かに風に揺れながら、私たちの思いを空へ届けてくれることでしょう。

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もっと知りたいあなたへ

国立天文台:七夕と星空・旧暦について
https://www.nao.ac.jp/faq/a0309.html
林野庁:竹のはなし
https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take/index.html
農林水産省「aff(あふ)」:はじめよう、竹のある暮らし
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/pdf/aff2103_all.pdf

本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。

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