こがないのに自転車?〜神奈川発・MOPERO 4Uが変える都市の移動〜
駅までは少し遠い。
クルマを出すほどではない。
でも歩くには暑いし、坂道はしんどい。
都市で暮らしていると、そんな「あと少し」の移動に、意外と体力も時間も奪われていることに気づきます。
特に、共働きで子育てをしている世代にとって、移動は日々のタスクのひとつです。保育園への送り迎え、スーパーへの買い出し、駅までの往復。そこに「疲れない移動」が加わるだけで、暮らしは驚くほど変わります。
その「疲れない移動」の実現を期待できそうなのが、神奈川県発の電動モビリティブランドSWALLOW(スワロー)が手がける「MOPERO 4U(モペロ フォーユー)」。
ペダルをこがずに移動できるにもかかわらず、どこか自転車のような安心感を持った、新しい乗り物です。
背景にあるのは、日本の法制度の変化だけではありません。
坂の多い街で生まれたこと。
高齢化社会の移動課題。
そして、「移動をもっと生活に寄り添うものにしたい」という、ものづくりの思想でした。
こがなくていいのに「自転車っぽい」新制度が生んだ新しい乗り物

初めてMOPERO 4Uを見た人の多くは、「これは自転車?」と思うはずです。
まず、ペダルをこがない。
なのに、電動キックボードほど不安定にも見えない。
その絶妙な「中間感」こそ、この乗り物の面白さです。
法律上、MOPERO 4Uは「特定小型原動機付自転車」に分類されます。これは2023年7月に始まった比較的新しい制度で、電動キックボードなどの普及を背景に整備されました。
一定基準を満たした車両については、
- 最高速度20km/h以下
- 16歳以上なら免許不要
- ヘルメットは努力義務
- ナンバープレート装着が必要
といった条件のもと、公道走行が可能になります。
興味深いのは、この制度自体が「都市生活の変化」を映していることです。
従来、日本の移動は「徒歩」「自転車」「クルマ」「電車」という区分で考えられてきました。
しかし近年は、
- クルマを持たない人の増加
- 高齢化による運転不安
- ラストワンマイル移動の課題
- 共働き世帯の増加
などを背景に、「ちょうどいい移動」が求められるようになっているのです。
MOPERO 4Uは、その隙間を埋める存在を目指しているのかもしれません。
電動キックボードに対して、「便利そうだけど怖い」と感じる人は少なくありません。クルマを運転していてヒヤッとしたことがある方は特にではないでしょうか。MOPERO 4Uは、サドルがあり、ハンドル幅もあり、どこか自転車に近い安心感があります。
それは単なるデザインではなく、「日常の中で、拒絶されず自然に入っていけるか」を考えた設計に思えました。
共働き世代の「疲れる移動」を軽くするパパモード・ママモードという発想

今回、筆者が興味を持ったきっかけは、MOPERO 4Uが単なる「新しいラクな乗り物」だけではない点でした。今回のモデルには、「パパモード」「ママモード」という考え方が取り入れられています。これが単なるモード切り替えのネーミングではないなと感じたからです。
背景にあるのは、都市生活者のリアル。
すでに筆者はその時期をほぼ終えましたが、30〜40代の共働き世帯では、
- 保育園送迎
- 通勤
- 買い物
- 習い事の送り迎え
- 在宅勤務の合間の移動
など、短距離移動の回数がとにかく多い。
しかし実際には、この「ちょっとした移動」がかなり疲れるのです。
特に横浜や川崎の北部地域のような坂の多い街では、その負担はさらに大きくなるでしょう。昔、足の形がとても綺麗な人に秘訣を聞いたところ「通勤通学で坂の上り下りがすごいから」と言われたことを思い出しました。
MOPERO 4Uは、その「生活疲労」を軽減する方向で設計されています。しかも、いわゆるメカ好き男性だけを想定したデザインではないのも嬉しい。ファッションとの相性、街中での馴染みやすさ、生活道具としての自然さ。そうした部分まで含めて設計されている印象があります。
アクティブシニアにも広がる可能性「移動を諦めない」という選択

今回の取り組みで特に注目したいのが、アクティブシニア層までを意識した実証実験です。
日本では今、「移動」が高齢化社会の大きなテーマになっています。
運転免許返納後、行動範囲が急激に狭くなってしまう人は少なくありません。
その後の移動手段はどうなるでしょうか。
- 普通の自転車は転倒が怖い
- 坂道がつらい
- 徒歩だけでは距離に限界がある
という課題もあります。
その中で、「軽く・ラクに・安心して移動できる」モビリティへの期待は非常に大きいものとなっています。
しかもMOPERO 4Uは、単に「高齢者にも使えます」というだけではなく、実証実験を通じて、安全性や操作性を検証している点が大切なことだと思いました。
新しいモビリティは便利な反面、「危ないのでは?」という不安も抱かれやすい存在です。
だからこそ、
- どの世代が
- どの環境で
- どのように使うのか
を実地で検証することは重要だといえるでしょう。
単なる乗り物開発ではない、「移動を諦めない社会」をどうつくるかという挑戦なのかもしれません。
都市とものづくりが一緒に未来を試す時代へ
MOPERO 4Uの開発・販売の背景には、横浜市による「戦略的実証実験支援制度」がありました。これは、企業やスタートアップの新技術を、実際の街で検証しながら社会実装へつなげていく制度。
MOPERO 4Uは性能だけではなく、
- 安全性
- 街との相性
- 利用者の反応
- 都市景観との調和
などの観点も含めて検証することに取り組んでいます。
モビリティは特に、「作ったから終わり」では成立しません。
街に馴染み、人々の暮らしに自然に入っていくものでなければ受け入れられないでしょう。つまり、「社会に受け入れられるデザイン」が必要になってきます。その意味で、MOPERO 4Uの取り組みは非常に現代的でした。
ものづくり企業が、単に製品を売るのではなく、「都市生活そのもの」を考えており、そして行政側も、「まず試してみる」という姿勢で支援している。これは、日本のものづくりの新しい形、可能性なのかもしれません。
移動が変わると、人の行動範囲が変わります。行動範囲が変わると、街との関わり方も変化します。そしてその変化は、私たちの暮らしそのものを少しずつ変えていくのでしょう。「新しい乗り物」に触れることによって、そんなことを考えました。
さて、出かけるとしましょうか。
―――
もっと知りたいあなたへ
SWALLOW合同会社
https://swallow-scooter.com/pages/company?srsltid=AfmBOoqt8QZ_3fYlSWGrgWWtAzkGruBI8BeZQANAktij-TRRY4Ga4hvV
横浜市の実証実験支援について
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/keizai/iot/itop1stop.html
本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。