地方の取扱説明書 地方の『これ、いる?』の取扱い方
地方で「これ、いる?」と聞かれたとき、
「いらない」と答えると、
「え、いらないの?」と、驚かれる。
地方の「これ、いる?」は、質問ではなく、
「これ、あげる」の前置きだ。
「いる?」と聞かれたら、「いる」と答えるのが、正解だ。
本当にいらなくても、「いる」と答える。
なぜなら、「いる?」と聞く人は、
すでに「あげる」と決めているからだ。
断ると、相手が困る。
野菜、果物、魚、手作りの惣菜。
「これ、いる?」の対象は、だいたい食べ物だ。
そして量が、多い。
一人暮らしでは食べきれない量を、「これ、いる?」と聞かれる。
でも、もらう。
もらって、食べきれなかったら、
別の誰かに、「これ、いる?」と聞く。
この循環が、地方の「これ、いる?」経済を、回している。
「これ、いる?」でもらったものは、
お金で買ったものより、価値がある。
なぜなら、そこに、関係性が含まれているからだ。
【取扱注意点】
・「これ、いる?」と聞かれたら、基本的に「いる」と答える
・本当にいらない場合は、「ありがとうございます、でも〇〇で」と理由をつける
・もらったら、後日、別の形でお返しする
・食べきれなかったら、別の人に「これ、いる?」と聞く
・「これ、いる?」と聞く側に回ることで、バランスを取る
地方の「これ、いる?」は、贈与経済の入口だ。
お金が介在しない、物と気持ちの交換。
もらうことで、あげる義務が、生まれる。
あげることで、もらう権利が、生まれる。
この「貸し借り」が、地方の人間関係を、緩やかに繋いでいる。
「これ、いる?」は、
「あなたのことを、考えていました」というメッセージだ。
いらなくても、その気持ちを、受け取る。
これが、地方での、「これ、いる?」の、正しい受け取り方なのだ。