クラフトリリース
2026.10.30

アンテナショップで発見5~埼玉県行田市・十万石まんじゅう~

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逸品を東京で味わう——東京のアンテナショップを巡り、地方の隠れた名品を実食レビューで紹介するシリーズ。

今回訪れたのは、新宿にある埼玉県のアンテナショップです。埼玉県であれば、電車1本で行ける距離ですが、都内で別の自治体の味や文化を感じられるのがアンテナショップの面白いところでもあります。

埼玉県のアンテナショップで手に取ったのは、「十万石まんじゅう」。
シンプルな見た目のなかにあるこだわりや、個体ごとに少しずつ表情が異なる焼印にも注目してみました。

埼玉銘菓といえば「十万石まんじゅう」

十万石まんじゅうを製造する十万石ふくさやは、1952年創業。商品名の「十万石」は、現在の埼玉県行田市周辺にあった忍藩の石高に由来しています。創業当初から「十万石まんじゅう」を主力商品としてきた同社を代表する銘菓です。

そして、十万石まんじゅうを語るうえで外せないのが「うまい、うますぎる」という言葉です。
現在も公式サイトのトップに掲げられ、パッケージにも記載されているこのフレーズは、テレビCMによって広く知られるようになりました。公式の沿革によれば、テレビ埼玉でのCM放映は1980年から現在まで続いてるのだそう。「風が語りかけます。うまい、うますぎる。埼玉銘菓十万石まんじゅう」という独特のフレーズは、埼玉県民に長く親しまれてきたCMとして知られています。

棟方志功が「うますぎる」と絶賛したまんじゅう

このキャッチフレーズには、ちょっとした誕生秘話があります。
十万石ふくさやの公式サイトによると、1953年、創業者の横田信三氏は、行田市の書道家・渥美大童氏の紹介で、当時まだ広く評価されていなかった板画家・棟方志功と出会います。そこで志功の作品や人柄に触れたことから、「これからの菓子屋には、先生の人間味あふれる暖かさやバイタリティが必要だ」と感じ、十万石まんじゅうを持って志功のもとを訪ねたそうです。

無類の甘党だったという志功は、まんじゅうを一口食べると、一気に5個を食べ、さらに6個目に手を伸ばしながら「うまい」「行田名物にしておくには」「うますぎる」と語ったとされています。そして、その場で筆を取り、忍城のお姫様を描いた「まんじゅう姫」の絵を残しました。

さらに興味深いのが、その文字です。志功は「十万石幔頭」と書いたため、先代が「幔は食偏の饅です」と伝えると、「全国に広く知れわたることを願って、この字にした」という趣旨の言葉を返したといいます。十万石ふくさやでは、この絵や志功との交流を、菓子作りの原点として現在まで大切にしています。

5個入りを購入して、いざ実食

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今回購入したのは、十万石まんじゅうの5個入りです。2026年9月現在、公式オンラインサイトによると税込907.2円。賞味期限は4~5日とされているため、購入後は早めに味わいたいところです。

箱を開けると、白い皮に「十万石」の焼印が入った、楕円型のまんじゅうが並んでいます。中身は北海道十勝産小豆を使ったこしあん。皮には国産のつくね芋と新潟県産コシヒカリの粉を使った薯蕷(じょうよ)皮が用いられており、公式サイトでは皮からほんのり山芋の香りがすることを特徴として挙げています。

実際に食べてみると、まず印象的なのは皮のしっとりとした食感です。やわらかく、きめ細かな皮の中に滑らかなこしあんが入っています。あんこの甘さだけが前面に出るというより、皮との組み合わせによってまとまりのある味わいに仕上がっています。小ぶりなサイズ感もあって、もう1つ手を伸ばしたくなる気持ちも分かります。「うまい、うますぎる」とまではいわなかったものの、無言で2つ目に突入してしまいました。

5個並べてみると、焼印にそれぞれの個性が

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今回、5個入りの箱をあけてみて面白いと感じたのが、表面に押された「十万石」の焼印です。同じ商品なのだから、焼印もすべて同じように見えると思いきや、よく見るとひとつひとつに微妙な違いがあります。文字の濃淡や焼き色、押された位置などが完全に均一ではなく、それぞれに少しずつ表情があります。工業製品のようにすべてが寸分違わず同じではないところに、手仕事を思わせる趣と愛おしさを感じます。

野球、サッカー、偉人まで。広がる「十万石」の焼印

十万石まんじゅうの魅力は、定番商品の姿だけではありません。これまでには、埼玉西武ライオンズや浦和レッズとのコラボレーションをはじめ、スポーツに関連した商品が登場しています。現在でも公式サイトでは、埼玉西武ライオンズの「らいおんず十万石まんじゅう」や、浦和レッズのコラボレーションまんじゅう、埼玉パナソニックワイルドナイツとの商品などが確認できます。

また、埼玉県ゆかりの人物では、渋沢栄一をデザインした「渋沢栄一十万石まんじゅう」も販売されています。そのほか、人気アニメやゲーム、埼玉県を題材とした映画作品などとのコラボレーション商品も登場してきました。期間限定商品も多く、その時々の話題にあわせて姿を変えているのも特徴です。

こうして並べてみると、十万石まんじゅうは単なる定番土産というより、その時々の埼玉の話題や文化と組み合わせられる存在になっていることが分かります。
そしてコラボレーションは、もっと別な派生も生んでいます。

十万石ふくさやでは、法人の記念品などを対象にオリジナルの焼印を入れるサービスも案内されており、指定したロゴなどの焼印を作成して、まんじゅうに入れることができるのだそう。つまり、十万石まんじゅうは基本となる形や味を大切にしながら、表面の焼印によってさまざまな表情を持たせられるお菓子でもあります。この「シンプルさ」こそが、さまざまなコラボレーションにつながりやすい理由の1つなのではないか。そんなことを想像してしまいます。

埼玉を知るきっかけにもなる、身近な銘菓

「十万石まんじゅう」は、埼玉県内を中心に複数の直営店があります。本店のある行田市まで足を延ばせばもちろんのこと、県内を移動している途中でも比較的出会いやすい銘菓といえそうです。また時期や店舗により異なりますが、道の駅などでも見かけることができるかもしれません。

今回実食して改めて感じたのは、十万石まんじゅうが「昔からあるお菓子」で終わっていないことです。皮やあんこに使う素材へのこだわりを守りながら、「うまい、うますぎる」という印象的なテレビCMで地域に根付き、さらに棟方志功との物語、スポーツチームや人物、作品などとのコラボレーションによって、新しい楽しみ方も生み出しています。

東京に住んでいると、埼玉の菓子をわざわざ現地まで買いに行く機会は少ないかもしれません。それでも、都内のアンテナショップで手に取ったり、埼玉を訪れた際に直営店や道の駅などで見つけたりすることで、その土地の文化を身近に感じることが出来ます。

「十万石まんじゅう」は5個入りから30個入りまでのラインナップも用意されています。家族や友人と分けて食べることもできますし、焼印の違いを眺めながら食べるのも楽しみの1つ。埼玉を代表するこのまんじゅうが、なぜ長く愛されてきたのか。その答えを、自分の舌と目で確かめてみてはいかがでしょうか。

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もっと知りたいあなたへ

十万石ふくさや
https://www.jumangoku.co.jp/

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本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。

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