2026.1.20

おいしさに開眼!採ったしいたけをその場で焼いて食べる魅惑のしいたけ狩り

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東京駅から新幹線を使えば30分ほどで到着する神奈川県小田原市。すぐ先はもう伊豆の入口である静岡県熱海市、山の方へ上がれば神奈川県箱根町があります。東京から気軽に行ける著名な温泉地・リゾート地を後ろに従えた分岐点の小田原は、もっと知られてもよいように思えます。

今回はその小田原に、ある目的を持って訪れることにしました。

それは「しいたけ狩り」。みかん狩り、いちご狩り、ぶどう狩り——果物狩りはよく聞きますが、しいたけ狩りとは。きのこ好きとしては体験してみるしかない、と友人を誘い小田原へ向かいました。

グリーン車で出発!といっても、普通の列車ですけれど

海沿いを行く東海道線普通列車の画像

新幹線で30分ほどとご紹介しましたが、公共交通機関では、ほかにも伊豆方面へ直通する踊り子号を選択することもでき、所要時間は1時間半ほどです。踊り子号には「サフィール踊り子号」という、個室や食堂車が充実したラグジュアリーな列車もありますが、これは小田原には停車しないため注意が必要です。

急ぐ旅でもなくラグジュアリー旅を求めるわけでもない我々は、東海道本線のグリーン車で移動することに。グリーン車以外は通常の車両のため、仕事でしばしば東海道線を利用する身としては、ここはやはりグリーン車を選択して少しでも旅気分を出したいところです。

さて、東京駅を10時ごろに出発する東海道線を選択し、連結されているグリーン車に乗り込みます。グリーン券は東京駅に着くまでにスマートフォンのモバイルチケットで購入しました。車内で買うよりもお得に購入できるので、ぜひ事前購入をおすすめします。

小田原といえば出てくるものは

小田原旧東海道かまぼこ通りの画像

小田原と聞いて想像するものは何でしょうか?関東地方にお住まいの方限定なのかもしれませんが、多くの人が「かまぼこ」と回答するのでは。私の周りは9割がそのように答えました。そう、海に面した小田原はかまぼこの町です。

それは、かまぼこの有名な老舗がたくさんあるから。中でも、鈴廣(すずひろ)や籠清(かごせい)の商品は、皆さん口にしたことがあるのではないでしょうか。お正月には欠かせないかまぼこですが、現在では、お弁当に入れて喜ばれるキャラクターものや、高級な材料を使って作られた高額商品など、さまざまな形に進化を遂げています。

そんなかまぼこ作りを体験ができるのが「鈴廣かまぼこの里」です。JRの小田原駅から箱根登山鉄道に乗り、風祭駅からすぐのところにあります。その名の通り、鈴廣が運営する施設で、かまぼこだけでなく「ちくわ」の製造体験もできるという、練り物好きにはたまらない場所となっています。地ビールや蕎麦を楽しめるレストランやショップ、博物館なども併設されているので、半日は楽しめるスポットです。

なお、かまぼことちくわの関係については、以前の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

満を持しての「しいたけ狩り」へGO!

かまぼこの話を持ち出しておきながら、我々が向かうのはしいたけ狩りです。

小田原着時間はお昼頃のはず。行き当たりばったり旅が日常的なため、今回も往路の車内で予定をざっくり決めようということで、本日のメインテーマであるしいたけ狩りについて調べてみました。

目指すは「きのこ苑 お山のたいしょう」。ホームページを見ると、最寄り駅は根府川駅(ねぶかわえき)でした。危ないところでした、小田原で下車してはいけません。根府川は小田原より2駅先なのです。駅からはタクシーでも呼ぶか、などと考えていたところ、何と根府川駅までの送迎があるとの記載を見つけ、車内からきのこ苑へ電話をかけました。もちろん連結部分のデッキへ出ての通話ですのでご安心ください。

到着時刻を告げると、その時間に予約を入れている他のお客様を迎えに来られるということで、私たちも同じ便に乗せてもらうことに。ラッキーです。平日の旅行は、人が殺到することが少ないというメリットがありますが、同時に人が少ないために送迎を行わないという施設もあるので、この辺りは一長一短というところでしょうか。

根府川駅の画像

駅に到着したワゴン車に、予約のご家族連れとともに乗り込みます。根府川の駅から山側は上り坂続きの道です。ワゴン車は、左右に広がるみかんの木の間をぐんぐんと登っていきます。そう、小田原はみかんの産地でもあるのでした。「きのこ苑 お山のたいしょう」でも、冬の時期はみかん狩りも楽しめます。

途中から、相互通行が難しい細道になり、それがさらに未舗装の道になり、大変急な坂道を上り切ったと思ったらちょっと下ったところで、正面に瓦屋根の日本家屋が見えてきました。いよいよ到着です。

しいたけってこんなに大きくなるんだ

お山のたいしょう入口の画像

車を降りて、受付がある日本家屋へ向かいます。

入り口には「お山のたいしょう」と暖簾がかかっており、中は広い食堂のようになっていました。順番を待って受付をします。

「しいたけ狩りをしたいんですが」と受付の女性にお願いすると、「お食事もされますか?」と尋ねられました。しかしすぐに、「ああ、でも予約でいっぱいになっていました、すみません」と言われてしまいました。もとより、行き当たりばったりの旅。しいたけを収穫して持ち帰り、家で食べればいいや、と思っていた我々としては想定内でしたので、「いえいえ大丈夫です」としいたけ狩りへのエントリーを済ませました。

しいたけ狩りは、入園料や時間制限はなく、収穫したしいたけを100グラムあたり400円で購入して持ち帰る、という仕組みとなっていました。竹かごを渡され、それに収穫物を入れて受付に持ち帰り、計量して精算です。それぞれに竹かごを手にして、建物の裏手にある栽培地へと向かいます。裏手といっても山のため、大変急な坂道。アキレス腱が最大に伸びる感覚を味わいつつ、原木が並んでいるハウスの扉を開けました。

ハウス内にたくさん栽培されている原木しいたけの画像

中に入ると、ミストが充満していて白っぽい視界。湿度が一定以上に保たれていて、気温も寒すぎず暑すぎない、しいたけのための環境が保全されていました。真ん中の通路を挟んで何列もの柵にしいたけの原木が立てかけられてあり、その原木からニョキニョキとしいたけが生えている様子はなかなかにシュールですが、何より驚くのは、そのしいたけの大きさです。

事前に、しいたけの採り方については「根本をしっかり掴んで引っ張る」と聞いていましたが、思いのほか簡単に綺麗に採れるのが印象的です。「赤ちゃんしいたけは採らないでね」と書かれてあるように、小さなものはまだ発育途中ということで、なるべく大きく形の良いものを選んで収穫しました。

原木の幹に当たってしまうほどカサが大きく開いたものもあり、そういうしいたけはカサの一部が凹んでいるのですが、そんなことも気にならないほど立派で肉厚。見た目からもみずみずしさが伝わってきます。スーパーで日頃目にする乾いた表面ではありません。しかし、調子に乗って大物ばかりをゲットしていると、金額が恐ろしいことになってしまうので、途中で内部に設置されたはかりで重量をチェックします。

竹かごがいっぱいになったあたりで、収穫を止めて受付に戻ります。帰りは当然下り坂、距離は長くないので平気ですが、高齢の方や小さなお子さんは十分注意しましょう。

「おいしすぎる」その場で焼いて食べてみて唸る

食事処入口の看板の画像

さて、受付に戻って計量です。竹かごはその重さが一定でないため、薄手の紙袋に入れて計量されます。私が200グラム、友人は250グラムも収穫していました。おかしいな、私はハウス内のはかりだと200グラムくらいだったのに。などと思いながらも、収穫には満足しているためお金を払いました。その時です。受付のお姉さんが「1時間程度なら今すぐお席作れるので食べて行かれますか」と案内してくれたのです。

お昼の時刻をとうに過ぎ、そこそこお腹が減っていた我々は、一も二もなくそのお誘いに「はい!お願いします!」と飛びつきました。畳の小上がりに卓が6つ、土間側にはテーブル席が3つ。いずれも6名くらいが着席できそうな広さです。我々は小上がり一番手前の席に案内されました。メニューを見てしばし思案タイムです。

ここで、2つの選択肢が提示されます。

  1. 自分で収穫したしいたけを食べる
  2. 施設が用意したものを食べる

これは当然自分で採ったものを食べたいため、①を選択。次に、炭火と焼き物・おにぎりが全て用意されたコース(何種かある)にするか否か。大変悩んだのですが、この後の夕飯をしっかり食べるつもりだったため、コースでなくアラカルトで頼み、代わりといってはなんですが、ビールなどのアルコールをいただくことにしました。

炭火焼きアラカルトは、炭火代を支払い、さらに好きな材料だけを注文するスタイル。きのこは当然収穫したしいたけを食べるのでパス。ビールを飲むために肉が必要であろう、ということで、牛肉と鶏肉をチョイスしました。潔くしいたけと肉のみ。 

すでに満席の店内は、炭火を囲んで楽しそうなグループばかりです。室内は白くもやっており、帰宅してからもこの煙の香りが身体中に染み込んで、燻製になった気持ちがいたしましたことをご報告します。とはいうものの、目の前に炭火のコンロがあれば盛り上がること間違いなし。瓶ビールを飲みながら待っていると食材が到着。お姉さんがしいたけの焼き方や、つけダレについて説明をしてくれました。

網の上に並べたしいたけと肉の画像

網の上にしいたけを並べます。備え付けのハサミを使い、石突部分をカットし、軸も根本で切ります。「軸の部分も割いて焼いて食べてみてください。歯応えがいいのでね」とお姉さんの指南に従い、軸も割いて乗せました。しいたけは、火が入るとカサのひだ部分に内部の水分が溜まり水玉ができてきます。色が少しクリーム色になったら食べ頃。醤油をかけても、特製のつけダレにつけても、塩コショウで食べても、お好みでどうぞ。

1枚が大きすぎるため、ハサミでカットしてからつけダレにつけてパクリ。

「えっ、すごい香り」口の中に広がるしいたけの香りが、今までのしいたけの概念を蹴散らすほどの強力さです。「おいしい〜!」友人も語彙力が低下してしまっており、この後は両名とも「おいしいねえ」としかしばらくは言わず、ひたすらにしいたけとお肉を食べ、ビールを飲みました。恐るべし、採りたてしいたけの味と香り。

家庭でも思い出して楽しめるしいたけ焼き

お山のたいしょうの案内看板の画像

それにしても、採りたてのしいたけは、本当にびっくりするほどのおいしさでした。ハウスで清浄に栽培されているため、水洗いせずともよく、そのまま網の上に乗せて焼いたのですが、それもまた良い香りを楽しむ大切な要素なのだと感じました。

気づけば周りの人たちも皆、笑顔でしいたけや肉、その他の食材を焼きながら楽しんでいました。奥の方の席は、おそらく地元の方々の会合なのか、お店の方も談笑したり、お客様と思いきや厨房に入って焼酎のボトルを自ら持って来たりして、和気藹々。大学生の男子4人組は豪快に色々と食べていますが、今どきの子らしくノンアルコールですが、とても楽しそうでした。

お食事処の待ち時間などにみかん狩りを楽しむこともできます。お子さん連れのご家族はみかん狩りをされてから食事にしたようでした。こちらのみかんは無農薬栽培、入園料は大人700円、小学生500円、幼児300円で、持ち帰りには別途ネット袋代がかかるそうです。雨天時はNGですのでお気をつけください。しいたけやみかんをお土産に購入できるようにもなっています。

受付付近のおみやげ品の画像

行き当たりばったりながら、炭火焼きまで楽しめた今回のしいたけ旅。

採りたての味がこんなにも香り高く、そしてうまみを感じられるなんて。ここまで感動するとは思いませんでした。自宅に戻った翌日、大切に持ち帰ったしいたけをコンロのグリルで焼いて食べましたが、香りはやはり昨日の衝撃ほどではなく、少し残念でした。それでも、スーパーで買う、乾いたしいたけよりは格段においしいのは間違いなし。

これまで、「◯◯狩り」にはあまり興味もなかったのですが、今回のしいたけ狩りで、現地に足を運んで体験することの面白さに目覚めました。飛行機や新幹線に乗って遠くまで行かずとも、ちょっと足を伸ばすだけで楽しめる場所がたくさんあります。おいしいものを求めて、ちょっとそこまで出かける旅。おすすめです。

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もっと知りたいあなたへ

きのこ苑お山のたいしょう
https://www7b.biglobe.ne.jp/kinokoen/new/home/index.html
一般社団法人小田原市観光協会
https://www.odawara-kankou.com/

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