知っていますか?スタンプラリーじゃありません 〜御朱印帳の本当のところ〜

寺社巡りを楽しむ人々にとっては欠かせないもの、それが御朱印帳。近年、御朱印をいただくことが一般化し、個性的な御朱印帳や特別仕様とも呼べる御朱印が増えてきています。お寺や神社に足を運ぶ老若男女多くの人が、自分の御朱印帳を持っているのではないでしょうか。この御朱印、地域ならではの特徴を活かしたものは、その土地を訪れる目的にもなりそうですね。今回はそんな御朱印について考えてみました。
御朱印帳の歴史
御朱印の起源は、平安時代の写経に遡るといわれています。かつては、参拝者が写経を納めた証として寺院からいただくものが御朱印でした。その後、江戸時代になると一般の参拝者も御朱印をいただけるようになり、巡礼や信仰の証として広まりました。現在では、御朱印は信仰という側面よりも、神社仏閣を訪れた記念としての意味合いが強くなっており、観光の一環としての楽しみ方をしている方が多いようです。
バリエーションが豊富でデザインもさまざまな御朱印帳
御朱印帳には、蛇腹折りや和綴じなどさまざまな形状があります。表紙のデザインも豊富で、伝統的な和柄の布張りや寺社ごとのオリジナルデザイン、さらにはキャラクターとのコラボレーションまであるのには驚きます。また、紙質にもこだわったものが多く、美しく押印された御朱印が長持ちするよう工夫されているものもあります。

たとえば、京都の清水寺では雅やかな金襴の表紙を使った御朱印帳が人気ですし、奈良の春日大社では白鹿と藤をモチーフにした御朱印帳(限定版)など目を惹くものがあり、寺社もそれぞれが個性を打ち出しています。
特別な御朱印もたくさん〜限定バージョン
御朱印帳のみならず、御朱印そのものも近年、特別なデザインによって収集家たちの間で話題になることが増えてきました。例えば、神奈川県藤沢市江島神社の「光の絵巻」御朱印などがそれにあたります。


江島神社は、湘南の海に浮かぶ江の島に鎮座し、海の神・弁財天を祀る神社として知られています。境内には辺津宮・中津宮・奥津宮の三宮があり、古くから芸術や音楽、財運、そして恋愛成就の神として信仰を集めています。
「光の絵巻」御朱印は、江島神社の美しい風景や神話をモチーフにした特別な御朱印で、夏の江の島を彩るイベント「江の島燈籠」の時期にのみ頒布されます。江の島灯籠の名物ともいえる光のインスタレーション「光の絵巻」にちなんだデザインのものです。その年の演出のモチーフをあしらったカラフルな御朱印は、江島神社が恋愛成就の神社とも言われていることから、女性に人気が高く、限定での頒布のためすぐになくなってしまいます。写真は、令和5年(2023年)のものですが、切り絵で「光の絵巻」を再現していて、とても繊細かつ素敵なデザインになっています。御朱印を挟むミニサイズのクリアフォルダもついており、ご朱印帳に貼るかどうか悩んでしまいました。
また、一例として、群馬県桐生市の宝徳寺と崇禅寺は、月替わりの御朱印がいただけることで有名です。御朱印集めが好きな方ならいくつか集めに回りたくなりますね。秋には紅葉、冬には雪だるまなど季節の可愛らしい絵柄が人気で、この2つのお寺を巡るバスツアーが組まれているほどです。
御朱印をもらう時のマナーをおさらい!
御朱印をいただく際にはマナーを守ることが大切です。当たり前のことですが、ここでおさらいをしておきましょう。

- ① 静かに参拝をする
御朱印は、神仏への敬意を示す証です。必ず先にお参りを済ませてからいただきましょう。 - ② 御朱印帳を正しく差し出す
御朱印帳は、書きやすいように開いて渡しましょう。また、神社や寺院によっては書き置きの御朱印のみの対応もあるので、事前に確認しておくと安心です。 - ③ 金額を事前に確認する
御朱印には「初穂料」や「納経料」として一定の金額が必要です。一般的には300~500円ですが、特別な御朱印はそれ以上の場合もあります。 - ④ 御朱印を集める目的を大切にする
近年、御朱印を「スタンプラリー」のように集めることが問題視されることもあります。神仏への敬意を忘れず、いただく一つ一つの御朱印を大切にしましょう。
楽しみ方それぞれ、デジタル御朱印帳も登場
御朱印帳をいただくことは、単なる記念品収集ではなく、日本の文化や歴史に触れる貴重な機会でもあります。寺社を訪れるたびに異なる御朱印をいただき、その背景を知ることで、より深い感動を味わえます。
最近ではデジタル技術を活用した「電子御朱印」や、御朱印をもとにしたアート作品など、新しい形の御朱印文化も登場しています。進化を楽しみつつも、御朱印は信仰に根差した伝統的なものだということを忘れずに、敬意を持って御朱印集めを楽しみたいものです。
そして、「わがまち」が持つ誇れる文化や伝統を御朱印へ組み込むことで、これまでとは違う層へその魅力を伝えることができるかもしれません。神仏頼み、というわけではありませんが、独自の魅力を盛り込んだ御朱印はひとつの発信手段となる可能性も秘めているともいえそうです。
ーーー
もっと知りたいあなたへ
江島神社
http://enoshimajinja.or.jp/
宝徳寺
https://www.houtokuji.jp/
崇禅寺
https://www.instagram.com/souzenji_official/