2025.11.20

ふるさと納税コレにしよっ(4)海産物と歴史遺物が眠る海〜長崎県松浦市〜

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「ふるさと納税」で実際に寄付した自治体といただいた返礼品をご紹介する「ふるさと納税コレにしよっ」シリーズ、第4回は長崎県松浦市です。缶を開けた瞬間、海の香りがふわり。そんな体験ができるのが長崎県松浦市からの返礼品でした。

海とともに生きるまち、松浦市

長崎県北部、北松浦半島に位置する松浦市。玄界灘から伊万里湾に面していて、伊万里湾の沖合に浮かぶ複数の離島も松浦市に含まれます。

一年を通して穏やかな海に臨む松浦市は、古くから漁業や海運業で栄えてきました。アジの水揚げ量は日本一を誇り、2019年には「アジフライの聖地」を宣言しています。刺身でも食べられる新鮮なアジを使ったフライは、「わざわざ食べに行きたいおいしさ」として観光客にも人気です。

アジだけではなく、サバの水揚げ量も日本有数。天然・養殖どちらも楽しめるのが松浦市のすごいところです。松浦産のアジと天然サバは「旬(とき)アジ」、「旬(とき)サバ」としてブランド化もされていて、適度な脂でおいしいと評判。本マグロやトラフグ、車エビなどの養殖も盛んで、新鮮な海の幸はこのまちの産業を支えています。

ふるさと納税で届いた、海の恵み

今回は、松浦市の数ある名産品の中から、「サバ缶セット」をふるさと納税返礼品に選びました。届いたサバ缶を使って炊き込みご飯を作ってみたので、実食レビューしていきます。

サバ缶12缶を積み上げて並べた画像

食べてみる前に、パッケージに目が行きます。サバのイラストがかわいらしくも高級感があり、とても洗練された印象で、ついつい並べたくなりました。このデザインなら、プレゼントにしても喜ばれそうですね。

イワシやサバの缶詰を製造・販売する「相浦缶詰株式会社」の自社ブランド「旬ほとぎ」シリーズは鮮度と状態にこだわり、旬のうまみをぎゅっと詰め込んで缶詰にしたものだそう。創業76年を誇る老舗の伝統の味、期待が高まります。

味の種類はベーシックな水煮を筆頭に、醬油煮、味噌煮に加え、珍しいトマト煮まで入った4種セット。今回は味噌煮とトマト煮を料理に使ってみました。

サバ味噌煮缶で香ばし炊き込みご飯

今回の実食は、調理をしてみました。ずばり「サバ味噌煮の香ばし炊き込みご飯」です。研いだお米にサバ缶の汁としょうゆ・みりん・千切りにしたショウガを入れ、規定の水位まで水を入れたらしめじと油揚げ、サバの身を投入して炊飯器のスイッチオン!あとは待つだけです。

炊飯器からは蒸気とともにサバの香りが広がり、食欲のスイッチもオン。ワクワクしながら炊き上がりを待ちました。

炊飯完了の合図と同時に蓋を開けてみると、香ばしい味噌と海の香り——もうおいしいです。仕上げにバターを入れてサバを軽くほぐしながら全体を混ぜたら完成。サバの身は缶にぎっしりと詰まっていたので、お米2合に対してサバ缶1缶で十分すぎるぐらいの量でした。

サバ味噌煮缶を使った炊き込みご飯を茶碗に盛った画像

さあ、茶碗に盛っていざ実食。気になるお味は――

とてもおいしい!炊き込みご飯全体ももちろんおいしく仕上がりましたが、何よりサバ自体のおいしさが際立っています。

サバ缶は青魚特有の臭みが出やすいですが、こちらの缶詰にはそれがありません。程よく脂がのっていて、サバの身にはしっかりと味噌味が染み込んでいます。噛むほどに魚のうまみが溢れ出し、ご飯とともに一気に食べ進めたくなりました。個人的には、今まで食べたサバ缶の中でナンバーワンです。

ご飯は少し薄めの味付けにしたので、サバから出たうまみの出汁を感じることができました。サバの身にしっかり味が染みている分、ご飯は薄味でちょうどよい、という印象です。とても簡単にできるのに満足度は高く、贅沢な食事をした気分。旬ほとぎサバ缶恐るべし、でした。

サバトマト煮缶で洋風リゾット風ご飯

味噌煮に続いてトマト煮、こちらも炊き込みご飯にしました。

すりおろしたニンニクとショウガにコンソメキューブを入れ、サバ缶は汁ごと豪快に投入。アクセントになるよう、セミドライトマトを少しだけ加えてみました。炊き上がったらオリーブオイルを一回し、よく混ぜてコショウと粉チーズをかけたら完成です。

サバトマト缶を使った炊き込みご飯を茶碗に盛った画像

こちらも良い香り。サバってこんなに香ばしくて食欲を誘う香りなんだ、と今更ながらに気付かされます。

そして肝心の味ですが、こちらもとてもおいしくできました!サバは相変わらず臭みなく、良い脂乗り。トマトに負けずにうまみが溢れ出します。ご飯と一緒にいただくと、後からトマトの風味が追いかけてきて、さながら洋風リゾットのようです。今回は追加の具材は入れませんでしたが、それでも物足りなさはまったく感じません。粉チーズの塩味がちょうどよく、一杯で大満足の出来栄えでした。

味噌煮とトマト煮、どちらも甲乙つけがたいですが、和風の味噌煮はほっとする家庭の味、トマト煮は休日のランチにぴったりなごちそう感。気分に合わせて選べるのも嬉しいですね。こんなに手軽にできるのにおいしくて満足度も高いなんて――サバ缶にはまってしまいそうです。

元寇ゆかりの神風が吹いた島、鷹島(たかしま)

晴れた日の鷹島肥前大橋の画像

突然ですが、皆さん歴史の授業で習った「蒙古襲来(もうこしゅうらい)」について覚えていますか?

鎌倉時代、当時大陸を支配していた元(モンゴル帝国)が二度に渡って日本に攻めてきた事件です。一度目は1274年の文永の役、二度目は1281年の弘安の役、元寇(げんこう)とも呼ばれるこの事件の終焉の地が松浦市だということは、あまり知られていないかもしれません。

当時、強大な勢力を誇っていた元は、東アジア全域を支配しようと目論み、日本にも侵略を仕掛けました。すでに元の支配下にあった高麗からほど近い対馬から壱岐、博多と攻め進めますが、日本の幕府軍の必死の抗戦もあり元軍は撤退。博多湾を引き上げた直後に暴風雨に襲われ、元の軍船は半数以上が沈没したと伝えられています。これが1274年の文永の役です。

その7年後の1281年、文永の役で日本を攻めきれなかった元が、再び日本を侵略しようと14万人の兵を引き連れて強襲を図ります。先遣隊である東路軍(900艘)と主力の江南軍(3500艘)は対馬や壱岐での合戦を経て、博多を攻め落とすべく鷹島(たかしま)沖で合流・停泊していたところ、またしても暴風雨に遭い元の軍船は軒並み沈没、残った兵も撤退を余儀なくされ、弘安の役は幕を閉じます。この戦いの幕引きは、現代でも「神風が吹いた」として語り継がれていますね。

そしてこの「神風が吹いた」土地、鷹島が長崎県松浦市に属する離島なのです。1980年(昭和55年)から周辺海域では水中調査が実施され、数多くの遺物が発見されています。2011年(平成23年)にはついに元の軍船の一部が発見され、これを契機に松浦市鷹島町神崎港の沖合海域が海底遺跡としては日本で初めて国史跡「鷹島神崎遺跡(たかしまこうざきいせき)」に指定されました。かつて神風が吹いたこの海には今も語られぬ物語が眠っています。

また、鷹島にある「松浦市立埋蔵文化財センター」では海底から発掘された武器や武具、兵士たちの日用品などの保存処理を行い、それらの一般展示も行っています。700年以上前の歴史に触れられる貴重な場所、機会があればぜひ一度行ってみたいものです。

名産を味わい、歴史に触れる贅沢

松浦市は海に面した魚のおいしいまちである一方、日本の歴史を語る上で欠かせない重要な史実をたくさん持つまちでもありました。その土地が持つ歴史を知ることで、今ある名産のありがたみも増し、より大切に味わうことができる気がします。

ふるさと納税を通じて、日本の大切な歴史を学び直し、そして思い入れのあるまちがまた一つ増えました。次はどんなまちと出会えるでしょう。もう少し、旅を続けてみたいと思います。

―――
もっと知りたいあなたへ

松浦市公式ホームページ
https://www.city-matsuura.jp/
相浦缶詰株式会社
https://www.abccan.co.jp/
文化遺産オンライン(鷹島神崎遺跡)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/284999

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