2025.10.21

Refine Otani~ホテルニューオータニの壊さずに磨く、日本の美意識~

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未来を見つめるホテルニューオータニの「リファイン」という選択

株式会社ニュー・オータニは、2025年9月22日(月)、新経営体制のもとで掲げる新たな経営方針と事業戦略「Refine Otani」を発表した。それは、建て替えるのではなく「磨き続ける」という選択。その新たな挑戦が、今、始まろうとしている。
1964年。東京オリンピックの熱気が日本を包み、国中が未来へと突き進んでいた時代。白いユニフォームの選手たち、テレビに映る聖火、街を駆け抜ける真新しい新幹線——。人々の暮らしが日ごとに豊かさを増し、日本の建築技術、伝統の美意識、おもてなしの心、そしてテクノロジーの進化が世界から称賛を集めていた。その象徴として誕生したのが、日本初の超高層建築物「ホテルニューオータニ」だった。

世界を迎え入れる「おもてなしの顔」として、建築・食・サービスのすべてに当時の最高水準を注ぎ込んだこのホテルは、戦後日本の希望と華やぎを映し出した存在だった。

建て替えず、磨き続ける──「Refine Otani」という選択

そして今、61年の時を経て、ホテルは新たなステージへと舵を切る。建て替えではなく「Refine(磨き上げ進化)」という選択を掲げ、新経営体制のもと、次の100年へ。総支配人・髙山剛和氏、社長・清水肇氏、会長・大谷裕子氏らが率いる新たな布陣のもと、ニューオータニは再び「都心における歴史の継承と革新の拠点」として、その船を漕ぎ出した。

この方針には、ホテルという建築を「文化の器」として次の時代へつなぐ意志が込められている。素材を生かしながら研ぎ澄ます——まるで職人が長年使い込んだ道具を手入れし続けるように、ニューオータニは自らの空間と時間を磨き続けることを選んだのだ。

都心のパノラマが一望できる「エグゼクティブハウス 禅(ZEN)」のラウンジ

その哲学を最も象徴的に体現するのが、ホテルインホテルとして知られる「エグゼクティブハウス 禅(ZEN)」である。
「ホテルの中のホテル」として2007年に誕生したこの空間は、わずか84室の、限られたゲストのために設えられた特別な場所。日本の伝統美と現代的な快適性を融合させ、一期一会のもてなしを極めた「究極の日本のおもてなし」として、国内外から高く評価されている。
実際に「フォーブス・トラベルガイド」では6年連続で最高評価の5つ星など、世界の名だたる賞を受賞。その名は、東京を代表するグローバルブランドとして確立されている。

海外では、百年単位で息づく建築が都市の顔として存在感を放ち、文化や記憶を次代へと継承している。一方、日本では、再開発という名の下に、時間を宿した建物が姿を消していくことも少なくない。

大都会にそびえるホテルだからこそ、時代とともに生き続ける姿があってもいい。伝統を重んじるホテルこそが誇るべきひとつの形として、「変えずに磨く」という道を歩んでいる。

そして、ニューオータニの歴史は建物だけでなく、そこに訪れる人々の記憶にも刻まれているだろう。初めての展望レストランに胸を高鳴らせた子どもの頃の思い出。
トゥールダルジャン 東京での祝いの食事。トレーダーヴィックス 東京でトロピカルカクテルのグラスを傾けた夜——。祖父母の時代から受け継がれてきた小さな記憶の連なりが、このホテルの文化そのものを形づくっている。

変えることではなく、受け継ぎながら進化させるという、日本らしい美意識の選択。
それは、時を重ねたものに新しい価値を見出し、未来へとつなぐ——まさに「現代のクラフト」と呼ぶにふさわしい姿勢だ。

食で伝える──進化する「食のホテル」

開業以来、ニューオータニは「食のホテル」として多くの人々に親しまれてきた。ホテルでの食事は、単なるサービスではなく「文化を体験する場」であるという信念のもと、国内外の一流シェフたちとともに歩みを重ねてきた。

1984年には、パリの名門「トゥールダルジャン」が日本での第一歩を踏み出す地として、ここホテルニューオータニを選んだ。本格的なフランス料理の文化が持ち込まれたことで、料理だけでなく、サービスや空間演出に至るまで、ホテル全体の「食でもてなす感性」が磨かれていった。

1998年には「ピエール・エルメ・パリ」がオープン。デザートを芸術の領域へと押し上げた巨匠ピエール・エルメ氏との関係は今も続き、美しく並べられたマカロンやケーキ、そして祝いのウェディングケーキなど全てにおいて、その洗練が息づいている。

これらの試みは、単なる名店の誘致ではない。アラン・デュカス氏をはじめ、世界最年少でミシュラン3つ星に輝いたイタリア・パドヴァ「Le Calandre(レ・カランドレ)」のマッシミリアーノ・アライモ氏ほか、パリの2つ星「Blanc(ブラン)」の佐藤伸一氏、サン・セバスチャンの「Txipa(チスパ)」の前田哲郎氏など、現在は世界で活躍する日本人シェフをいち早く招聘するフェア「THE GASTRONOMY」を10年以上に渡り展開するなど、海外の食文化を尊重しながら、それを日本人の美意識と調和させていく。その繰り返しの中で、ニューオータニは「世界と日本の味覚の交差点」としての独自の存在感を確立していった。

時代に合わせて進化を重ねながらも、核となる精神——「食を通じて心をもてなす」という理念は、今も静かに受け継がれている。

現代の「Refine」を体現する、3つの料理

今回リファインされた料理のかずかずは、いずれも東京が誇る最高水準のものばかり。なかでもシグネチャーとして新たに紹介された3品は、いずれも意表を突く内容だった。

職人の原点に立ち返る「極みうどん」

麺処 NAKAJIMA_豊前裏打会×麺処 NAKAJIMA 極みうどん

「豊前裏打会 ✕ 麺処NAKAJIMA 極みうどん」※の誕生には、驚くべき背景がある。
ホテルニューオータニの総料理長・中島眞介氏の監修のもと、「料亭 千羽鶴」、「日本料理 KATO’S DINING & BAR」、「麺処 NAKAJIMA」の3店舗を統括する日本料理 料理長安西雄太氏が自ら福岡・北九州に赴き、「豊前裏打会」の職人たちのもとで麺づくりを一から学んだ。透明感のある細麺と独自のコシで知られるその流派の技法を、自らの手で体得し、ホテルの厨房で再構築する。素材や技術を「外から取り入れる」のではなく、「内側から理解して磨く」という姿勢こそ、Refineの精神そのものである。

※年内提供開始予定

薪火の香り溢れる極上ステーキ

ベッラ・ヴィスタ_佐賀県産黒毛和牛サーロインと骨付き仔羊 炭火×薪火焼き

ガーデンタワー40階、地上144mの眺望が圧巻のメインダイニング「ベッラ・ヴィスタ」は、炭と薪をコンセプトに掲げたグリルレストランだ。炭火・薪火で焼き上げられた、佐賀県産黒毛和牛サーロイン※や骨付き仔羊は、直火と薪の熱を繊細に操り、表面に香ばしい焦げ目をつけ、中心にはしなやかな肉の旨みが閉じ込められた一品。「原点に立ち返る火の料理」としての力強さが息づいている。洗練と素朴さ——その両極が共存する味わいは、まさにニューオータニの「進化し続ける伝統」を象徴している。

※産地は異なる場合があります

芸術の域に達した、「スーパーモンブラン」

皿の上に盛り付けられた「パティスリーSATSUKI」のスーパーモンブランの画像

「パティスリーSATSUKI」の「スーパーモンブラン」は、秋の訪れを告げる象徴的な一品だ。スーパースイーツシリーズとして知られるこのケーキは、誰もが知るモンブランを、究極の名にふさわしい一品へと磨き上げた。

使用するのは、兵庫・丹波産の初栗。層の重なりやペーストの絞り、断面の美しさに至るまで、すべてが計算され尽くしている。ひと口ごとに濃厚な栗の香りが広がり、抹茶のほのかな苦みが全体を引き締める。層ごとに異なる食感がリズムを生み、最後の一口まで発見と喜びが続く。

未来へのリファイン

日本のこれからの時代は、どんな光を放っていくのだろう。
急速な変化の波のなかで、私たちは「新しさ」だけを追い求めてはいないだろうか。

本当の豊かさとは、これまで積み重ねてきたものを見つめ直し、手をかけ、磨きながら未来へとつないでいくこと。
ホテルニューオータニの「Refine Otani」は、その問いに対するひとつの答えを示している。

変化ではなく、継承と研磨によって生まれる新しさ。
それは、日本という国がこれから放つ「静かな光」のように、やさしく、確かに輝いている。

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もっと知りたいあなたへ

ホテルニューオータニ(東京)
https://www.newotani.co.jp/tokyo/

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