【夏限定】叶 匠壽庵の水羊羹と夏の玉露地〜職人技と幻の寒天が奏でる涼菓〜

夏が近づくと、水羊羹が恋しくなる和菓子党の方は多いのではないでしょうか。その涼しげな見た目は夏の暑さに一片の涼を届けてくれる気がします。
さて本日は、銘菓「あも」に代表される和菓子の老舗「叶 匠壽庵(かのう しょうじゅあん)」の「水羊羹」と「濃果汁」、「夏の玉露地」をご紹介していきます。
滋賀が誇る老舗和菓子店
叶 匠壽庵は滋賀県大津市に本店を構える老舗和菓子店。代表銘菓の「あも」は以前、このKURAFTでもレビューをお届けしました。
「寿長生の郷」からの美味到来 〜叶 匠壽庵「あも」と「標野」〜
そんな叶 匠壽庵の夏を彩る水羊羹は「あも」と同様に職人さんのこだわりが詰まった逸品なんです。
幻の寒天 「小笠原商店」の天然糸寒天
まず、水羊羹に欠かせないこしあんは、職人さんが自ら作り上げたこだわりのもので、深いコクと豊かな風味が特徴です。柔らかく煮た小豆を漉して皮を取り除き、水気を切ってできた生あんに、砂糖や寒天を加えてじっくりと炊き上げることで、なめらかな口当たりに仕上がっています。
さらに水羊羹に使用されている寒天は、長野県伊那(いな)市の「小笠原商店」が作る天然糸寒天ですが、こちらはなんと寒天の国内生産量のうち、流通量はわずか2%という希少な商品なんだとか。
寒さの厳しい時期に天日干しを繰り返し行う伝統製法で作られています。
小豆の味をしっかりと感じながらも滑らかな舌触りとなるように、叶 匠壽庵の水羊羹に合わせた独自の配合をしているそうです。
濃厚さと口当たりの良さが絶妙な水羊羹

それでは実際にいただいてみましょう。
まずはその美しい見た目に目を奪われます。容器デザインは日本古来の文様である「麻の葉」をモチーフに作られているそうで、クリスタルのような、あるいは氷のような佇まいが涼しさを呼びますね。水羊羹というと、長方形で何だか味気ない印象を持ってしまいがちですが、こちらのものは一味も二味も違います。
匙を入れると程よい弾力。そしてそのまま口に運ぶと濃厚な小豆のコクと風味がふわりと広がります。それなのに口に残るもたつきはゼロ。とてもさらりとしていて口当たりが心地よいです。甘さは少し控えめな印象で、その分、小豆本来のおいしさを感じられます。一般的な水羊羹よりもやや大ぶりな印象ですが、重さを感じることはなくペロリと食べきってしまいました。
濃厚な林檎の果物羹(くだものかん)
続いては「濃果汁(林檎)」。
水羊羹と同じ麻の葉モチーフのパッケージですが、色の違いで印象が全く異なります。
開封すると芳醇なリンゴの香り。そして口に含むとさらに強くリンゴを感じます。
水羊羹同様の程よい弾力は、とても食べやすいながらも満足度の高い逸品です。「濃果汁」の名前は伊達ではないな、と思わされる濃厚なフルーツゼリーでした。
見た目も鮮やか!「夏の玉露地」

最後にいただいたのは「夏の玉露地(たまろじ)」。
透き通る錦玉羹(きんぎょくかん)の中から顔を出す白雪大納言と北海大納言の2種の小豆が何とも美しいコントラスト。
餅羹はモッチリとしていて口当たりも楽しく、小豆と一緒に食べるとちょうど良い甘みでした。もち米が使われており、求肥とはまた一味違ったモチモチ具合。ありそうでなかった新食感の和菓子です。
同じ小豆を使った商品でも、水羊羹とはこんなにも趣が異なるのか、と不思議な気持ちにさせられます。
詰め合わせセットはお中元にもピッタリ!

今回ご紹介した商品はすべて4月中旬から8月下旬頃までの夏季限定での販売です。種類は異なりますが、どれも冷やして食べるとおいしい涼菓となっています。
これら個性豊かな菓子が一堂に揃う詰め合わせセットも人気です。手土産や贈答用としても最適で、夏のご挨拶やお中元に選ぶ方も多いというのも頷けますね。素材へのこだわりはもちろん、それぞれの菓子に宿る美しさや季節感を通して、贈る相手への想いまでも届けられるような、そんな心づかいを感じさせてくれます。
環境に配慮したパッケージへのリニューアル

叶 匠壽庵の水羊羹は、以前は竹を模したプラスチックカップを使用していました。涼し気な見た目はお客様からも好評だったのですが、温室効果ガス問題の原因の一つであるCO2排出量を削減するため、2021年にパッケージを大幅リニューアル。原料である樹脂を28gから5gにまで減量し、さらに重ねて保管できる形状にすることで輸送頻度を今までの10分の1に削減することができたそう。
これによりCO2排出量は1個当たり32.5g、年間売上の250万個で計算すると81.25tもの削減につながるというから驚きです。
老舗と呼ばれる伝統企業でありながら、現代の社会問題にも真正面から向き合い、サステナブルな社会の実現に向けて取り組むその姿勢に、地域の方はもちろん、全国にファンがいるのも頷けます。
伝統の中に息づく革新──叶 匠壽庵が描くこれからの和菓子
叶 匠壽庵の和菓子は、素材、技術、美意識、そして未来へのまなざしが一体となった存在です。素材や味へのこだわりはそのままに、環境への配慮はしっかりと取り組む——叶 匠壽庵は単なる食品製造を超えた「文化の継承と革新」を感じさせてくれます。世代を超えて人の心をつなぐ和菓子が、こうして現代のニーズと響き合いながら進化を続けているのは、本当にすごいことだと感じます。
四季折々の風土や素材の恵みに寄り添いながら、日々のおやつや季節の贈り物として、和菓子は日本人の暮らしに彩りを添えてきました。叶 匠壽庵の「水羊羹」と「濃果汁」、「夏の玉露地」は、そんな和菓子文化の中でも、夏にしか味わえない特別な存在。舌にひんやりとやさしく、目にも涼やかに映る菓子たちは、暑さに疲れた心と体に、そっとやすらぎを届けてくれます。手土産はもちろん、自分へのご褒美にも最適な一品、ぜひお手に取ってみてください。
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叶 匠壽庵
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