「ふるさと納税」で実際に寄付した自治体といただいた返礼品をご紹介する「ふるさと納税コレにしよっ」シリーズ、7回目となる今回は福岡県糟屋郡須恵町(かすやぐんすえまち)の「さば寿司・炙りさば寿司食べ比べセット」です。
自然豊かな環境と都市の利便性が調和した町、福岡県須恵町とは
福岡県の中央部に位置する、糟屋郡須恵町。町の東部および北部には、太宰府県立自然公園指定地区に指定されている若杉山、岳城山がそびえ、豊かで美しい自然が広がっています。若杉山ふもとの皿山公園は花の名所として知られており、特に春には3万本のツツジが咲き誇り、心癒されるスポットです。また、江戸時代から明治時代にかけて「須恵焼」と呼ばれる窯業が栄え、歴史と文化が息づく地でもあります。
その一方で、福岡市に隣接しており、交通の要所である博多駅や空の玄関口である福岡空港へのアクセスが良好です。このため、近年は都市機能も充実したベッドタウンとしての開発も進んでいます。
今回須恵町へのふるさと納税返礼品として選んだのは、清広食品の「さば寿司・炙りさば寿司食べ比べセット」。サバ寿司に目がない編集部員が、福岡とサバ、そしてサバ寿司が持つ奥深い物語に迫ります。
サバ寿司の歴史と福岡のサバ文化
サバ寿司と聞くと、京都の「鯖の棒寿司」を思い浮かべる方が多いかもしれません。サバ寿司の歴史は、サバが豊富に獲れる九州や日本海側と、内陸の地域を結ぶ重要な食文化として発展してきました。特に京都の鯖寿司は、「鯖街道」を通じて伝えられたものです。

鯖街道とは、福井県小浜市から、京都へと続く複数の街道の総称です。この道は、冷蔵技術がなかった時代に、若狭湾で獲れた新鮮なサバを塩漬けにして京都まで運ぶために使われました。約80キロメートルの道のりを徒歩で運ぶ間に、サバはちょうど良い塩梅に熟成し、京都の都人に珍重されました。
この鯖街道では、サバだけでなく若狭湾の海の恵みである海産物や塩、特産物の木炭や油粕、穀類、下駄なども運ばれました。鯖街道は、単なる物流の道ではなく、若狭と京都の食文化や経済、文化交流を支えた重要な歴史的ルートなのです。今も道沿いには当時の名残が残り、多くのハイカーや歴史愛好家が訪れています。
京都で越前のサバが珍重される一方で、福岡県では古くからサバは身近な魚でした。福岡県の沖合に広がる玄界灘は、対馬海流と日本海がぶつかり合う、魚の餌となるプランクトンが豊富な好漁場です。この豊かな環境で育つサバは、良質な餌をたっぷりと食べるため、一年を通して脂の乗りが良いのが特徴です。特に秋から冬にかけては「秋サバ」や「寒サバ」と呼ばれ、最も脂が乗り、身が引き締まって美味とされます。
一般的にサバは鮮度が落ちやすく生食には向きませんが、玄界灘の鮮度の高いサバが手に入る福岡県では、刺身にして食べられてきました。特に「ごまさば」と呼ばれる郷土料理が存在するほど、地元の人々にとって特別な存在なのです。新鮮なサバを刺身で食べる文化は、漁場が近い福岡ならではのものです。

こうした背景を持つ福岡では、サバ寿司もまた独自の発展を遂げてきました。内陸へ運ぶための保存食としてだけでなく、新鮮なサバをよりおいしく味わうための料理として、独自の製法や味付けが確立されてきたのです。まさに玄界灘の恵みと、この地で育まれたサバ文化の結晶といえるでしょう。
サバ寿司の魅力~絶妙なバランスが生む深い味わい~
今回届いたセットには、「さば寿司」と「炙りさば寿司」の2種類が入っていました。どちらもパッケージを見るだけで食欲をそそられます。

福岡空港「ANA FESTA」空弁売り上げランキング第1位にも選ばれた「さば寿司」
まずは「さば寿司」から包みをオープン。薄いとろろ昆布でくるまれた棒寿司が出てきました。さあ断面はどうでしょう?一切れを箸で持ち上げると、サバの肉厚さを実感。そしてツヤツヤと輝くサバの身が目に飛び込んできます。
一切れ口に運ぶと、まず感じるのはサバのとろけるような脂の甘みとうまみ。しっかりと酢で締められているため、サバ特有の臭みは全く感じられず、さっぱりとしながらも芳醇な後味が広がります。この酢加減が絶妙で、サバのうまみを引き立てながらも、全体の味をまろやかにまとめ上げています。
酢飯もまた、主役のサバと見事に調和しています。粒がしっかりとしたお米が使われており、ふっくらと炊き上げられた酢飯は、口の中でほどける食感。酢飯に混ぜられた大葉が爽やかな香りをプラスし、サバとの相性をさらに高めています。
そして、とろろ昆布のほのかな香りとうまみが口に広がり、サバの風味をより一層引き立てていました。昆布の存在が、全体の味わいに深みと奥行きを与えてくれています。酢飯とサバ、それぞれの味がお互いを引き立て合い、一口ごとに至福の満足感が得られました。
皮目を香ばしく炙られた「炙りさば寿司」
続いては「炙りさば寿司」です。こちらは、サバの表面を軽く炙ることで、新たな香りと食感が加わっています。一口食べると、香ばしい匂いがふわっと鼻を抜けていきます。炙られたことで余分な脂が落ち、サバのうまみがギュッと凝縮されているように感じられました。表面はパリッと、身には生の食感が残っており、このコントラストが非常にユニークです。
炙りの工程は、ただ香りを加えるだけでなく、サバが持つ本来の身の甘みをきわ立たせる効果もあるようです。炙りの加減が絶妙で、職人の技が光る一品だと感じました。
おいしさの秘訣
これほどおいしいのには、何か秘密があるに違いない——同梱されていたリーフレットによると、サバや米、酢はもちろんのこと、冷凍技術にもこだわりがあるようです。
まずサバは脂ののった厳選真サバを使用。酢飯には、三連水車で有名な日本米づくり百選に選ばれた水田地帯の朝倉米、そして世界遺産「神宿る島」で有名な福岡県宗像市で育った米を100パーセント原料にした純米酢を使用しているとのこと。その上で、プロトン凍結という冷凍技術を施すことで、解凍後はまるで作り立てのようなさば寿司が全国どこにいても食べられるようになっているのです。
40年以上もの間愛され、伝統の味を守り、一つ一つ丁寧な手作業で作られているさば寿司。この品質の高さは、徹底した衛生管理と品質管理にも支えられています。消費者に安全でおいしいものを届けたいという、作り手の誠実な思いが伝わってきました。
ふるさと納税でまだ見ぬ日本を知る
福岡県須恵町の「さば寿司・炙りさば寿司食べ比べセット」は、私と同様にサバを深く愛する皆さまにおすすめしたい一品でした。
ふるさと納税は、これまで見聞きしてこなかった町や村に目を向けるきっかけとなります。その土地の魅力や特産品について調べる時間は、まるで旅の計画を立てているように心躍ります。返礼品を通して全国の自治体と繋がり、新たな故郷を見つけるようなこの体験こそ、ふるさと納税の醍醐味だと感じました。
今回もまた一つ、素敵な町と出会うことができました。次はどんな旅となるでしょうか。今からとても楽しみです。
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もっと知りたいあなたへ
須恵町観光サイト~スローリズムすえ
https://slowrhythm-sue.jp
博多・清広
https://kiyohiro.com/
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