2025.11.26

十勝川温泉「琥珀ナイトアンドマルシェ」〜シンボルツリーの光に包まれる旅〜

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北海道道東に広がる十勝平野。広大な空と豊かな大地に抱かれ、静かに流れる十勝川。
その河畔に湧く「十勝川温泉」は、植物由来の有機物を多く含む「モール温泉」として知られ、肌を包むまろやかさと独特の琥珀色が旅人を魅了してきました。

「琥珀ナイトアンドマルシェ」はこのモール温泉の琥珀色をテーマに、地域の魅力をぎゅっと詰め込んだイベントです。2024年に始まったこの催しは、光と音、食とクラフト、そして温泉文化がひとつに溶け合う新しい体験。晩秋から初冬にかけての澄んだ空気のなか、十勝川温泉に幻想的な灯りがともるのです。

モール温泉が生んだ「琥珀色」の物語

モール温泉の琥珀色の湯の画像

十勝川温泉は、世界的にも珍しいモール温泉の湧出地。
源泉は、太古の植物が堆積してできた亜炭層を通り抜けて湧き出し、植物由来の有機物を多く含む泉質をもたらします。この湯は茶褐色を帯び、光に透かすとまるで琥珀のように輝くのです。

この「光を含む湯の色」こそが、十勝川温泉の象徴であり、「琥珀ナイトアンドマルシェ」の名前の由来でもあります。イベントの名に「琥珀」を冠するのは、単に色の美しさだけでなく、この土地の自然と時間がつくり出した生命の輝きそのものを表しているように感じられます。

「琥珀ナイトアンドマルシェ」とは

イベントは、「道の駅ガーデンスパ十勝川温泉」で行われています。こちらは温泉やスパはもちろんのこと、ショップ、レストランを備えた地元住民も観光客もともに行き交う憩いの場です。夕暮れになると館内に柔らかな灯りがともり、光と香りが満ちる時間が始まります。

「琥珀ナイトアンドマルシェ」は、モール温泉のぬくもりと十勝の豊かな自然・食・アートなどを、十勝川温泉を訪れる人たちに紹介するイベント。昼間の明るさや賑やかさとはまた一味違う屋内の静かな空間に光が満ち、外の寒気とは対照的な「内なるぬくもり」が広がります。
マルシェエリアでは、十勝の食やクラフト、農産物やお酒などが日替わりで並び、周囲の宿の宿泊客や、地元の家族連れなど、訪れる人々がゆったりした時間を楽しめる場所になっています。また、地元のアーティストたちのミニコンサートなども開かれており、あたたかい夜に音楽で華を添えていました。

からまつコリドーに輝くシンボルツリー

シンボルツリーのナチュラルな画像

このイベントの中心にあるのは、館内の「からまつコリドー」に設置されたシンボルツリーです。「からまつ」とは十勝を代表する樹木の落葉松。その名を冠したこの回廊は、木のぬくもりと柔らかな灯りが溶け合う、道の駅の中でも特に印象的な空間です。ツリーは、館内奥のガラス張りのスペースに立ち上がり、琥珀色を基調とした光がさまざまな色合いに柔らかく移り変わりながら、周囲を囲む木材の壁面や天井を照らします。屋外とは違いここには風がないため、だからこそ、光は静かに、まるで呼吸する木のように揺らめくのです。

シンボルツリーは、「育てるウッドツリー」としてデザインされています。昨年に初お目見えしたこのツリーは、その後1年間大切に保管されてきました。廃棄物をできるだけ少なくしたいという考えのもとに、木材を主とした耐久性のある素材で作られたツリーは、来年、再来年と年を経るにしたがって、より深みとあたたかみを増すに違いありません。

このツリーのデザインと空間演出を手掛けるのは、全国で多くの空間デザインや光を使った演出を手がけている「VELVETA DESIGN(ベルベッタ・デザイン)」。彼らが描く光は、単なる装飾ではなく、モール温泉の琥珀色のあたたかさを表現しています。
ツリーのモチーフには、十勝に住む動物たちと農産物の麦の穂を取り入れているそう。近くでよく見てみると、たくさんのかわいらしい動物がツリーにあしらわれていました。ツリー自体は結晶のような多角形の形状がベースになっていますが、これはこの建物に使われているカラマツ材の象徴的な梁の形状に着想を得たのだとか。イベントのロゴマークデザインもこれにちなんでいます。

光と香りに包まれる癒しの空間

エントランスを入ると、心が癒されるようなウッディな香りが迎えてくれます。今年は新たな試みとして「香り」の演出も行われているのだそう。奥に見えるからまつコリドーのシンボルツリーの光が豊かに輝き、マルシェエリアの人の動きとともにゆらめきます。

琥珀色の照明は、副交感神経を優位にし、リラックスを促すといわれます。実際に、ツリーの前では誰もが自然と立ち止まり、長い時間をかけてその光を見つめます。スマートフォンを手にしていた人も、いつしか画面から目を離し、ただ光を感じることに集中しているようでした。

マルシェで触れる・広がる十勝の味と文化

マルシェの試飲会で出されるチーズやワインの画像

光のアートを楽しんだあとは、マルシェエリアへ戻りましょう。
「琥珀ナイトアンドマルシェ」では、十勝の地元生産者やクラフト作家が集い、食と文化の魅力を来場者に伝えます。ワイン、地酒、チーズ、はちみつ、パン、野菜——どれもこの地の自然が育んだ逸品ばかり。十勝で作られたブドウを原料としたワインや地元酪農家による乳製品など、寒い夜にぴったりの味が並びます。

日替わり・週替わりで店舗が入れ替わるため、何度訪れても新しい出会いがあるのも魅力。出店者の多くは「十勝をもっと知ってもらいたい」という思いを持つ人々で、来場者との対話から生まれるあたたかい交流も、このイベントの魅力の一部となっています。

あたたかな光を見ながら飲むワイン、癒しのフレグランスがうっすらと漂う通路を歩く人々、そして手には地元の味——そのすべてが、十勝という土地の豊かさを体感させてくれます。

旅人のための夜の過ごし方

夜の「道の駅ガーデンスパ十勝川温泉」内部の画像

旅人へのおすすめは、マルシェが始まる少し前に会場を訪れること。外はすでに冷たい風が吹き、日が沈むと同時に琥珀色の光が館内を満たしていく、その始まりを楽しめるからです。

まずは温泉で体をあたためてから、館内をゆっくりと巡りましょう。18時、シンボルツリーが静かに点灯すると、館内全体が呼吸を合わせるように光を帯び、訪れる人たちは足を止めて、周囲を見渡します。その瞬間、館内に小さな歓声と拍手が起こる——「琥珀の時間」の始まりです。

ツリーを堪能したら、マルシェをゆっくりと楽しむ時間。温泉であたたまった体に、十勝の大地のおいしい贈り物や、人々のぬくもりあふれる品々を手に取ってみるのはいかがでしょうか。

宿泊を伴う旅なら、この「琥珀ナイトアンドマルシェ」を楽しんだあとは温泉宿に戻り、再びモールの湯に浸かって光の余韻を全身で感じるのもおすすめです。
湯けむりの中で思い出すのは、あのツリーの光と地元の生産者さんたちの笑顔。やさしく心に残る琥珀の灯りが、旅の締めくくりを静かに照らします。

灯りがつなぐ、温泉地の未来

十勝川温泉の日の出の風景画像

「琥珀ナイトアンドマルシェ」は、北海道・十勝川温泉を舞台にした新しい夜の物語。館内の回廊で展開される光の演出は、まるでモール温泉そのもののようにあたたかく心を包みます。

光に導かれながら歩くひととき——それは、寒さや喧騒を忘れ、あたたかさの中の静寂を感じる時間となるでしょう。もしあなたが、晩秋から初冬の北海道で「心まであたたまる夜」を探しているなら、十勝川温泉を訪れてみてください。琥珀の灯りが、あなたの記憶にいつまでも残るあたたかな光景を描いてくれるはずです。

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もっと知りたいあなたへ

道の駅ガーデンスパ十勝川温泉
https://www.tokachigawa.jp/

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