2025.5.22

令和の今日まで永らく続く日本の印鑑文化について学んでみよう

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日本の印鑑文化は、古くから続く伝統に根ざしたものです。印鑑は、個人や企業の身分証明や契約の際に使用される重要なツールであり、私たちの生活に欠かせないものといっても差し支えないでしょう。欧米のサイン文化とは違う、その歴史や素材、新技術、注目の印鑑について改めて学んでみましょう。

ところで、印鑑と印章の違いについてはご存知でしょうか?

印章は「はんこの本体そのもの」を指し、印鑑は「登録されたはんこの印影=朱肉の跡」のことを意味するのだそうです。

印鑑・はんこの歴史おさらい

日本における印鑑の歴史は非常に古く、最古の印鑑は紀元(西暦)57年に後漢の光武帝から授けられたという、皆さま歴史の授業で習ったはずの「漢倭奴国王」の金印です。この金印は福岡県の志賀島(しかのしま)で発見され、現在も国宝として保存されています。

その後、奈良時代には律令制の導入により、政府機関や官吏が使用する「官印」が整備されました。

漢倭奴国王印の印面文字レプリカ画像

701年に発布された大宝律令には、印章制度に関する具体的な記述があります。中国の隋や唐に倣ったもので、そこから天皇御璽(てんのうぎょじ)や太政官印などの公印が使用されるようになりました。

奈良時代には個人が使用する印が現れるのですが、その後の平安時代以降は自筆の花押が印にとって代わる時代がきます。戦国時代の武将の手紙などでは、大きく花押が記されているのが見てとれます。

時代がくだって、江戸時代には、商工業の発展とともに印鑑の使用が庶民にも広がり、明治維新以降にはさらに需要が高まりました。明治6年には、署名のほかに実印を捺印する制度が定められ、印鑑が正式に市民権を得ました。

印材について

素材の違う印章がたくさん並んだ画像

印章の素材には、伝統的なものから現代的なものまでさまざまな種類があり、ここにも多様化の流れがきています。代表的な伝統印材は、牛角白、黒水牛、本柘植などです。牛角白は、艶やかな飴色やグレーがかった色合いが特徴で、女性に人気があります。

黒水牛は、耐久性に優れた素材で、男性に人気があります。本柘植は、木目の美しさと温かみのある手触りが特徴で、古くから日本人に愛されています。

いずれも品質の高いものは非常に高額ですので、おいそれと手が出るものではありませんね。また、地域によっても好まれる素材が異なるそうで、その地域の価値観や文化とも結びついていると考えられ興味深いものです。

現代では、チタンやカーボンなどの新しい素材も登場しています。チタンは、耐久性が高く、朱肉の付きも良いため実用性に優れた素材です。カーボンは、軽量でありながら強度が高く、使用感もよくデザイン性にも優れています。

印鑑・はんこ、注目の最新技術

印鑑の新技術として注目されているのが、日本一の印章の産地である山梨の伝統技術と最新の精密加工技術が融合した「未来印(ミライン)」です。この印鑑は、無垢な金属面から文字が浮かび上がる演出が特徴で、重要な場面でのみ姿を表す幻の印鑑です。0.002mmという極限の精度で設けられた均一な隙間が、この魔法のような演出を可能にしているそう。

また、セキュリティ技術の向上によって電子印鑑も普及してきており、デジタル化の波に乗って、企業や団体などが電子印鑑に切り替える動きが進んでいます。これにより、印鑑の使用がより効率的かつ衛生的になっています。

いま買うべき?注目の印鑑をチェック

電子印鑑が押された見積書のイメージ画像

最近注目されている印章には、先ほどご紹介した未来印のようなもののほか、チタン製やシート型、カード型などがあります。

チタン製は、耐久性とデザイン性に優れており、その未来的な質感から特に男性に人気があります。シート型やカード型は、持ち運びが便利で、ビジネスシーンでよく使われているようです。

また、ユニークなデザインの印鑑も増えており、幾何学模様の印影がおしゃれな印鑑や、ゴルフ好きにおすすめの印鑑など、個性を表現できる印章・印鑑が多く登場しています。

日本の印鑑文化は長い歴史を持ちながらも、現代の技術と融合して進化を続けています。日常生活ではサインの方が何かと楽な気がするときもありますが、歴史や素材の進化や、その精巧な技術を知ると、文化として残していきたいものだと感じますね。

あなたもとっておきの1本を所有してみてはいかがですか?

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もっと知りたいあなたへ

公益社団法人全日本印章業協会
https://www.inshou.or.jp/
モテギ株式会社 未来印
https://motegi-kk.com/mirain/

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