2025.6.11

蒜山ラッテバンビーノ~岡山の大地が育んだ、世界が注目するチーズ工房

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チーズ職人・川合省吾さんの挑戦

岡山県真庭市・蒜山(ひるぜん)。雄大な山々と冷涼な空気、広がる高原の牧草地。ここは全国でも有数の酪農地帯。その一角に、静かに、しかし確かな存在感を放つチーズ工房があります。

その名は「蒜山ラッテバンビーノ」。「ラッテ」はイタリア語で牛乳、「バンビーノ」は子ども。「牛乳の子どもたち」、すなわちチーズへのあふれる愛情を込めて名付けられました。

棚に並ぶカマンベールチーズ、サンタンドレタイプの画像

ここでチーズ作りに並々ならぬ情熱を注ぐのが、職人・川合省吾さん。蒜山の自然とジャージー牛乳、そしてイタリア仕込みの技術。すべてが深く交差する場所で、唯一無二の味が生まれています。

カッティングボードの上のパッキングされたナチュラルチーズ、クリームブルー、チェダーなどの画像

「本物の味」を求めて──川合さんの軌跡

川合さんがこの道に入ったのは、チーズ作りに心を奪われてしまったことがきっかけ。これまでの職業に別れを告げて、イタリアやフランスで修業を重ねて伝統の技を身につけながら、やがて「蒜山の風土に合うチーズ」を求めて自らの工房を生まれ故郷に立ち上げました。

川合さんが掲げるのは「本物の味を地元の素材で作る」という信念。ジャージー牛乳の魅力を最大限に引き出しながら、今日もチーズ作りに挑み続けています。

蒜山の恵みを映す、ミルクの芸術

ラッテバンビーノのチーズに使われるのは、地元・蒜山のジャージー牛の生乳。脂肪分が高く甘みのあるこのミルクは、チーズにすると独特のコクと香り、まろやかさを生み出します。

ジャージー牛の顔正面の画像

なかでも評判なのは、ほどよい塩味とミルクの甘味、もっちりとした弾力のある食感が特徴の「蒜山ジャージーモッツァレラ」。ひと口で虜になる人が後を絶ちません。

ビニール袋に入ったモッツァレラチーズの画像

モッツァレラ、リコッタ、カチョカバロ、カマンベールタイプのチーズのほか、山葵や唐辛子を練り込んだ創作系チーズまで。どれをとっても「普通のチーズ」はありません。そのすべてが蒜山という土地の個性と、川合さんのセンスを反映した「ミルクのアート」です。

これらのチーズは、地元の直売所はもちろん、インターネット通販や全国の高級食材店でも取り扱われ、全国の食卓に届けられています。

セミハードのウォッシュチーズ、包装前の製品の画像

ヨーグルトに宿る、もうひとつの技

ラッテバンビーノのもうひとつの人気商品が、自家製ヨーグルト。チーズとはまた違う、乳酸菌の調整という繊細な技術が求められる世界ですが、川合さんの手にかかれば、濃厚でありながらもすっと口になじむ、まろやかな味わいに仕上がります。

こちらももちろん、蒜山のジャージー牛乳を使用。口に含んだ瞬間に、自然の恵みがじんわり広がる、贅沢な一品です。

カップに入ったヨーグルトの画像

地域とともに、食の文化を育てる

川合さんの取り組みは、チーズ作りだけにとどまりません。地元の酪農家と手を取り合い、チーズ作り体験教室を開いたり、ワイナリーやブルワリーとコラボしてペアリングイベントを行ったり。蒜山の「食」を中心に、人と人とがつながる場を生み出しています。

地域の食材と技術が響き合う場所。それが、ラッテバンビーノなのです。

川合さんとMasterBerryが並んだ画像

世界が認めたチーズ工房

その実力は、国内外のチーズコンテストでも証明済み。「ジャパンチーズアワード」をはじめ、数々の受賞歴を誇り、今や「日本のナチュラルチーズ」を語る上で欠かせない存在に。

川合さん自身もテレビや雑誌でたびたび取り上げられ、日本のチーズ文化を牽引する存在として注目を集めています。

蒜山に現れた、ランボルギーニの鼓動

蒜山の大地を走るランボルギーニ・トラクターの画像

蒜山の大地に、静かに佇む白銀のランボルギーニ・トラクター。筆者が川合さんのセンスをビビッと感じたワンシーンです。

高級車のイメージが強いランボルギーニですが、もともとは農耕機メーカー。そんな「原点」を知る人にはたまらない粋なチョイスです。これを所有するなんてクールとしかいいようがない…。これこそが「Farm」!

川合さんの「農作業を美しく魅せる」という想いが、このトラクターにもにじみ出ているようです。

試食という名の「招待状」

ラッテバンビーノでは、工房を訪れた人に、数種類のチーズの試食が提供されます。どれも個性豊かで、初めての人でも、チーズの違いを楽しみながら選べるように配慮された試食タイムは、まるで小さなピクニックのよう。ワイン片手に訪れる外国人の常連客たちとともに、ゆっくりとお気に入りのチーズを選ぶ時間は、特別なひとときです。

カットされテーブルに並ぶ5種類のチーズの画像

「食の体験」を持ち帰る

チーズ作り体験や工房見学もできるラッテバンビーノ。熟練の技に触れ、できたてのチーズを味わう体験は、単なる観光を超えた「学び」の時間です。蒜山という土地が育んだ食文化を五感で感じる貴重な機会になるでしょう。

蒜山の風土を映す、食の芸術

川合さんのチーズは、単なる乳製品ではありません。蒜山の大地、自然、そして人の想いが詰まった「食の芸術」です。食べた瞬間に、さわやかな風が吹き、草が揺れ、遠くで牛が鳴いているような牧歌的な風景が浮かんでくるようです。

インタビューに応える川合さんの画像

蒜山の大地が育て、川合さんの情熱が形にした「ラッテバンビーノ」のチーズ。そのひと口が、あなたのチーズ観をガラリと変えるかもしれません。

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もっと知りたいあなたへ

蒜山ラッテバンビーノ
http://ww9.tiki.ne.jp/~scheine-12/

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