2025.8.21

福井県で心ほどける絶景ドライブ~越前海岸の景勝地と旬の味覚を巡る旅~

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福井県の中心地である福井駅から車で45分ほどの距離にある越前海岸は、複雑に入り組んだリアス式海岸から臨む日本海が絶景で、訪れる人々を魅了してやみません。壮大で独特なその景観は、季節ごとにさまざまな表情があり、ドライブスポットとしても人気です。地元の人々の生活や文化もしっかりと根付いていて、自然美に留まらない魅力たっぷりの越前海岸。今回はその魅力の一部をご紹介します。

リアス式海岸が生み出す圧巻の地形と物語

越前海岸の地形は、日本海の荒波が長い時間をかけて削り出した自然の芸術ともいえるもの。湾や岬が複雑に入り組んだ形状を持ち、そのひとつひとつに自然の力強さが感じられます。

東尋坊の断崖絶壁の画像

中でも有名なのが、絶壁に日本海の荒波が打ち寄せる景色で知られる「東尋坊」。約1kmにおよぶ大規模な柱状節理(ちゅうじょうせつり)は世界でも珍しく、「世界三大奇勝」に数えられます。国の天然記念物に指定されているほか、「日本の地質百選」にも選ばれています。サスペンスドラマのクライマックスを思い起こさせる断崖絶壁、崖っぷちに立つと思わず足がすくんでしまいますが、自然の壮大さを感じられる絶景スポットです。

遊歩道から見た呼鳥門の画像

もう一つ、越前海岸を代表する景勝地の「呼鳥門(こちょうもん)」は、何百万年もの風化と侵食によって生み出された巨大な天然トンネルです。以前はトンネル下に国道が通っていましたが、現在は崩落の危険があることから迂回路が作られ、国道としては閉鎖されてしまいました。しかし、すぐ手前まで遊歩道が整備されているので、今でも間近でその迫力ある姿を見ることができます。

他にも越前海岸には「鉾島(ほこじま)」や「弁慶の洗濯岩」といった奇岩群が多く存在します。そのユニークな形状は訪れる人々の心に強い印象を残すだけでなく、自然と地質学の奥深さを訴えかけてきます。

季節ごとに異なる顔を見せる越前海岸

越前海岸は季節ごとにその表情が大きく変わるのも魅力の一つです。季節ごとの見どころを少しずつご紹介していきましょう。

春は山肌を彩る桜と澄み渡る青空、青い海が絶妙なバランスを作り、生命の息吹を感じられる季節。桜を眺めながら海岸を散策するひとときは至福の一言です。

日本海の透明度が最も高まる季節は夏。白い波が岩場を打ち、磯遊びやダイビングを楽しむ家族連れで賑わいを見せる海岸も夏らしさを感じさせます。

秋は山々が紅葉で染まり、秋特有の落ち着いた色合いの海とのコントラストが美しく映えます。地元の三国漁港や越前漁港では、カニ以外にも秋サバや越前ガレイなどの秋の味覚が豊富に並び、目だけでなく舌でも楽しむことができる季節です。

冬は「これこそが日本海」とでもいうような荒々しい波が打ち寄せる厳しい風景が広がります。雪化粧をまとった岸壁が加わることで、静けさと力強さが共存するモノクロームの世界が作り出されます。海岸には越前水仙が咲き誇り、名産の越前ガニが旬を迎えます。

夕日に映える東尋坊の画像

どの季節もそれぞれの表情が美しいのですが、特におすすめしたいのが残暑の季節。空がまだ夏の鮮やかさを残しながらも、夕方になると柔らかな秋のトーンへと変化するこの時期、越前海岸は特別な雰囲気に包まれます。

薄暮が迫る夕刻、涼しい潮風が肌を撫で、遠くから聞こえる波の音が静寂を包み込みます。その瞬間、日本海に沈む夕陽が赤く燃え、波間と岩肌を黄金色に染め上げるのです。海岸線の夕景はまるで絵画のように美しく、荒々しい岩肌と夕陽に染まる波が織りなすドラマティックな景色が広がります。その光景は釘付けになること間違いなし、時間さえも忘れてしまいます。「日本の夕陽百選」にも選ばれるほどの絶景ですので、お近くを訪れた方はぜひ。一見の価値ありですよ。

香りと景観で冬を彩る越前水仙

海岸に咲く越前水仙の画像

越前海岸はヒガンバナ科のニホンズイセンの日本三大群生地の一つでもあります。越前海岸に咲く水仙は「越前水仙」としてブランド化されており、冬になると海岸沿いの斜面一面が白い花で埋め尽くされます。寒い冬と日本海の荒波に耐えて可憐に咲き誇るその様子は、福井の県民性と一致するとして福井県の花にも指定されています。

越前水仙の甘くミカンに似た爽やかな香りはストレスを和らげる効果があるといわれており、古くから天然の香料として親しまれてきました。2020年には国の「重要文化的景観」にも指定された越前水仙、ぜひ現地で海と空の青、水仙の葉の緑、可憐な花の白が描くコントラストとともに、その香りも楽しんでみてください。

福井といえば!冬の味覚 越前ガニをどうぞ

割った殻の中にカニ味噌や卵が詰まった越前ガ二の画像

越前海岸はグルメも豊富で、一年を通して新鮮な海の幸を楽しむことができます。獲れたての魚介を豪快に乗せた海鮮丼も魅力的ですが、やはり越前海岸といえば「越前ガニ」でしょう。

冬の味覚として知られる越前ガニは全国でもトップクラスのズワイガニブランド。地元の市場ではさまざまな食べ方でその味を堪能できます。茹でガニや焼きガニももちろんおいしいですが、本場ならではの新鮮なカニ刺しは口の中に広がる甘みが絶品と評判です。

そしてもう一つのおすすめは水ガニ。脱皮して間もない甲羅が柔らかい雄のズワイガニのことで、みずみずしい味わいが特徴です。殻から身がズボッと抜けるので地元では「ズボガニ」と呼ばれて親しまれていますが、身が傷みやすく保存がきかないことから、一般流通はほとんどしていません。漁期は2月下旬からの1ヶ月と短く、なかなかお目にかかることができない貴重な海の幸です。

福井の伝統工芸と職人の技

この地域には、平安時代末期から伝わる「越前焼」の文化もあります。越前焼は、瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前とともに、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地を総称した「日本六古窯(にほんろっこよう)」に数えられ、2017年には日本遺産にも認定されました。

数ある焼き物の中でも特にシンプルで、その素朴さの中に感じられる温かみが特徴です。越前の土は鉄分を多く含んでいるため耐火性・耐熱性に優れ、丈夫で長持ちすることから日用品として重宝されてきました。現代でもその使い勝手の良さと和モダンな風合いがたくさんの人を魅了しています。多くの窯元がその伝統を守り、そして更なる進化を続ける越前焼。古くからの伝統工芸ですが、若い職人が作る新たな越前焼も注目されています。

越前海岸が紡ぐ自然と文化の物語

越前海岸は、観光地としての魅力もさることながら、脈々と続く文化や人々の営みを感じられる場所です。自然の美しさと地域文化の奥深さは訪れるたびに新たな視点を与えてくれます。

絶景を眺め、旬の味覚に舌鼓を打ち、文化に触れる――越前海岸には、五感で味わう旅の魅力が詰まっています。福井の自然と人の温もりに触れることで、日常では得られない発見や癒しを感じてみるのはいかがでしょうか。

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もっと知りたいあなたへ

福井県公式観光サイト 「ふくいドットコム」
https://www.fuku-e.com/
福井市観光公式サイト 「福いろ」
https://fuku-iro.jp/
一般社団法人 越前町観光連盟 「えちぜん観光ナビ」
https://www.town-echizen.jp/
一般社団法人 越前町観光連盟 「えちぜん観光ナビ」
https://www.town-echizen.jp/
越前海岸観光協会連合会 「まるごと越前海岸ナビ」
https://echizenkaigan.com/
旅する、千年、六古窯
https://sixancientkilns.jp/
越前焼工業協同組合
https://www.echizenyaki.com/

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