2025.9.29

木材の温かみと伝統技術の精巧さを毎日の生活に〜曲げわっぱの魅力発見〜

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「わっぱ」、「曲げわっぱ」は、スギやヒノキの薄板を巧みに曲げて作られる日本の伝統的な工芸品「曲物(まげもの)」のことを指します。主に弁当箱や器、食器として使用されることが多く、本体とそれに被せるフタで一組となるものです。

曲げわっぱが普及した時期は、江戸時代ごろといわれています。農作業や日常生活で使用する道具や器として、木の持つ柔軟性と軽さをいかしながらも耐久性を兼ね備えた道具が求められ、曲げわっぱはその需要に応えた製品でした。特に江戸時代には、武士や町人の間で弁当箱として広まり、旅行や日常の食事の道具として定番となったのです。

曲げわっぱの製造工程とその機能美

曲げわっぱ職人の絵の画像

曲げわっぱは、主にヒバやスギ、カシなどの木材を使用し、次のような工程で作られます。

  1. 木材の選定:良質な木材を選び、無駄な節やひび割れがない部分を使います。
  2. 板材の切り出し:選ばれた木材を板に切り出し、曲げやすい状態にします。
  3. 加熱と曲げ:木材を蒸気で加熱し、柔らかくした後、曲げの作業に入ります。職人は木材を型に沿わせ、数時間かけて慎重に曲げます。
  4. 成形と組み立て:曲げた木板を組み合わせて、弁当箱などの形状に成形します。接着剤を使わず、木材の接合部分は組み合わせて固定します。
  5. 仕上げと塗装:完成した曲げわっぱには、滑らかな仕上げが施され、漆やオイルを塗って美しさと耐久性を高めます。

その技術的な難しさと美しい仕上がりから、曲げわっぱは職人の技の結晶とされており、そのシンプルな形状に込められた技術の粋を日常の道具として手元におけるのは、幸せなことかもしれません。

曲げわっぱが今日でも高く評価される理由は、その機能性と美しさにあります。

木材という自然素材を使用しているため、ひとつひとつが異なる表情を持っています。木目や色味、質感が手に取るたびに感じられ、使うたびに愛着が湧くのが特徴です。木の温もりや、持ったときの軽さは、現代のプラスチック製品では感じられないものです。

曲げわっぱは木材の通気性が非常に良いため、食品を長時間保存できるという特長を持っています。湿気を逃がし、食品が湿りにくく、弁当として持ち運ぶ際に最適なのです。また、保温性にも優れており、料理の温かさを長時間保持することができるのも嬉しいところです。

使い続けることとサステナビリティ

わっぱに使われている木材は、使い込むことで、だんだんと艶が増し色味は深くなります。これは、漆やオイルなどの塗装が時間とともに馴染んでいくためで、使用者は経年変化を楽しむことができます。また、手入れがしっかりとされていれば、長年にわたって使用でき、世代を超えて受け継がれることもあるのです。

現代において、エコやサステナビリティが重要視される中で、曲げわっぱのような自然素材で作られた製品は、プラスチックや化学物質に頼らない選択肢として再度注目されるようになりました。使い捨ての容器とは異なり、繰り返し使えることは環境への配慮にも繋がります。

大館の曲げわっぱ

下記非定額のため画像変更・大館の曲げわっぱが数種類置かれている画像

日本各地には木を使った工芸品、また曲げわっぱに似たものなどもたくさんありますが、やはり「わっぱ」といえば秋田県大館市の曲げわっぱがその代表格といえるでしょう。

秋田県の大館市は、日本を代表するスギの産地として知られています。天然の秋田杉を使用した大館曲げわっぱは、長年続く伝統技術を持った熟練の職人によって作られており、特にその美しい木目「柾目(まさめ)」と軽さ、頑丈さが特徴です。江戸時代からの伝統を受け継いだ技法が今も守られていますが、現代では従来の弁当箱の枠を超えて、モダンなデザインに進化したものもあります。

シンプルで洗練された形状や、色とりどりの塗装、他の素材との組み合わせなどによって、よりスタイリッシュなアイテムとして提案されています。また、曲げわっぱをベースにしたインテリア雑貨や収納箱、食器などが登場し、現代のライフスタイルに合わせた使い方が広がっています。

海外でも注目される曲げわっぱの明るい未来

わっぱに入った美味しそうなお弁当の画像

曲げわっぱは、近年海外でも注目されています。日本文化やエコ志向に関心の高い地域では、伝統的な技術を現代のライフスタイルに合わせて取り入れる動きが活発です。最近は、アメリカやヨーロッパなどで日本の「弁当」が「BENTO」として注目を集めています。パリの街中にはBENTOの店がいくつかあり、購入するだけでなく自分でもBENTOを作って職場に持っていくなどの動きもあるそう。

そんな動きもあり、日本の弁当箱は機能性やデザインの良さから注目され、雑貨店などで取り扱われています。さらに、ミラノサローネなどへの出展などによって、日本の職人技や木材製品に対する関心が高まっていることもあり、曲げわっぱも海外で知られるようになっています。

曲げわっぱは、長い歴史の中で培われた職人技が息づく、非常に魅力的な工芸品です。自然素材を使用した製品でありながら、現代のライフスタイルにも十分に対応できる柔軟性を持っている曲げわっぱ。今後も日本国内外でさらに注目され、愛され続けることでしょう。

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もっと知りたいあなたへ

大館曲げわっぱ協同組合
https://odate-magewappa.com/
大館市公式サイト
https://www.city.odate.lg.jp/city/kankou/bussan/magewappa

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