傘を片手に紫陽花を愛でる雨の日散歩のススメ(関東地方版)

九州南部は梅雨入りしたとの報せを聞いて、頭に浮かんだのが紫陽花(あじさい)です。しとしとと降る雨の中でひときわ美しく咲くのが紫陽花。晴天のもとでは見えない、雨に濡れてこそ引き立つ色と風景があるのが紫陽花ではないでしょうか。
今回は、歴史ある寺院からローカル鉄道、農園まで、多彩な「紫陽花散歩」のできる関東地方のスポットをご紹介します。もしも近くにご紹介する場所があるならば、傘を片手にちょっと出かけてみませんか。
長谷寺(神奈川県鎌倉市)

「花の寺」として知られる鎌倉・長谷寺は、四季折々の草花が楽しめる観光名所。特に初夏の紫陽花は秋の紅葉と並んで有名で、眺望散策路に咲く約40種類・2,500株の紫陽花は、海とともに見下ろす絶景が人気です。
境内には傾斜をいかした遊歩道が整備されており、晴れの日とは違った、しっとりとした雰囲気が漂います。6月中は混雑時に入場整理券を配布することもあるため、公式サイトでの事前確認をお勧めします。
長谷寺から長谷駅周辺では、地元名物のしらすを使った料理が味わえるお店がたくさんあります。釜揚げしらす丼やしらすピザなど、海の幸をいかしたメニューが充実していますのでランチに足を運んでみては。
最寄駅:江ノ島電鉄 長谷駅から徒歩5分
拝観料:大人400円
高幡不動尊金剛寺(東京都日野市)

高幡不動尊は、関東三大不動のひとつとされる真言宗智山派の名刹で、平安時代創建と伝わる歴史ある寺院。幕末の志士・土方歳三の菩提寺としても知られています。
紫陽花の名所としても名高く、山内に約7,500株の紫陽花が植えられており、6月には「あじさいまつり」も開催され、まさに紫陽花が主役。山道や石段沿いに咲く紫陽花は、まるで自然の美術館のようです。
高幡不動駅前には創業百年を超える老舗のおまんじゅう屋さんがあります。「高幡まんじゅう」は北海道十勝産小豆を100%使用した素朴な味わい。地元の人々にも長年愛されています。
最寄駅:京王線 高幡不動駅から徒歩5分
井の頭線と紫陽花(東京都・吉祥寺周辺)

京王井の頭線は、渋谷〜吉祥寺を結ぶローカル感漂う人気の沿線。沿線の一部区間では、線路沿いに植えられた紫陽花はその数なんと合計で2万4,000株。車窓を彩るこのたくさんの紫陽花ですが、特に新代田駅〜東松原駅間と浜田山駅~西永福駅間では、見事な群生を見ることができます。
この2つの区間付近では、電車と紫陽花のコラボレーションを撮影する、いわゆる「撮り鉄」の方々もこの時期はよく目にします。特に西永福駅にはホーム脇にたくさん植えられているため、電車を待つ間にも眺めることができるのも嬉しいですね。
また、終点の吉祥寺駅から徒歩圏にある井の頭恩賜公園でも、池沿いや草地に点在する紫陽花が訪れる人々の目を楽しませています。園内は緑豊かで、雨音とともに静かな時間が流れます。
吉祥寺では「小ざさ」の羊羹が有名ですが、朝早くから整理券が配られるほどの人気ぶり。なお、最中(もなか)なら並ばずに購入できますよ。
最寄駅:京王井の頭線 吉祥寺駅、西永福駅、新代田駅、東松原駅など
服部農園あじさい屋敷(千葉県茂原市)

千葉県茂原市の「服部農園あじさい屋敷」は、個人経営の農園ながら、関東有数の紫陽花スポットとして知られています。広大な敷地に約250品種・1万株以上の紫陽花が咲き誇り、山の斜面を覆い尽くす様子は圧巻です。
この農園は元々お茶畑だった土地を転用したもので、整備にも時間をかけてつくられたとのこと。6月上旬から7月上旬にかけてが見頃で、雨の日でも楽しめるルートが確保されています。
園内の直売所ではスイカやビワなどを購入できます。また、車でのお出かけなら少し足をのばして「道の駅ながら」で、房総の新鮮野菜やジャム、焼き菓子など特産のお土産を探すのも楽しいかもしれませんね。
最寄駅:JR外房線 茂原駅からタクシー約10分
入園料:大人600円、子ども(小学生)300円
雨の日こそ、紫陽花と心の余白を
梅雨の時期はなんとはなしに憂鬱になりがちですが、紫陽花はそんな季節の毎日に彩りと癒しを与えてくれます。雨音を聞きながら、しっとりと濡れた花びらに心を重ねてみる――そんな雨の日ならではの贅沢なひとときを、ぜひお気に入りの紫陽花スポットで体験してみてください。
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もっと知りたいあなたへ
鎌倉長谷寺
https://www.hasedera.jp/
高幡不動尊金剛寺
https://www.takahatafudoson.or.jp/
京王電鉄井の頭線
https://www.keio.co.jp/area/inogashira/
服部農園あじさい屋敷
http://ajisaiyashiki.la.coocan.jp/index.html