「福」を包む、たねやのどら焼き~老舗が贈る滋味深い一品~
創業150余年、滋賀県近江八幡市に本社を構える老舗和菓子舗「たねや」。代表銘菓「ふくみ天平(てんびん)」は最中と求肥入りの餡が別々に包装されていて、食べる直前に自分で挟んで最中を完成させます。これにより、いつでもパリッとした軽やかな食感の出来立て最中が味わえる画期的な和菓子として、長きに渡り看板商品として人気です。
そんなたねやに伊勢丹新宿店限定スイーツがあるのをご存じでしょうか?今回はその「特別な味」をご紹介します。
伊勢丹新宿店限定「生福どらやき」
百貨店を中心に、全国に出店しているたねや。東京でも銀座三越や日本橋高島屋など、名だたる百貨店に直営店舗を構えていますが、中でも伊勢丹新宿店は少し特別。というのも、東日本で唯一、店舗に工房が併設されていて、職人が目の前で仕上げる出来立てのお菓子がいただけるのです。
大人気なのが伊勢丹新宿店限定の「たねや生福どらやき」。ふんわりとしたカステラ生地にたっぷりの粒あんと餅、生クリームを挟むこの商品は、注文を受けてから併設工房の職人が一つ一つ丁寧に仕上げてくれます。時期によっては、抹茶や栗などのペーストを挟んだ季節限定商品が販売されていることもあり、店は商品を買い求める多くの客でいつも賑わっています。
この生福どらやきも魅力的ですが、今回はお土産として生クリームなしの「たねや福どらやき」をいただきましたので、実際に食べた感想をレビューしていきます。
「福」の文字に込められた味わい~福どらやき実食レビュ~

パッケージの「福」の文字が印象深い、こちらの商品。やや小ぶりに見えますが、手にしてみると想像以上にずしっと重みを感じます。それもそのはず、半分に切ってみると、餅と粒餡がぎっしり。これはおいしいはず、と期待が高まります。
そっと口に運ぶと、しっとりフワフワの生地が優しい口当たり。ふわりと蜂蜜が香り、上品な甘さに癒されます。中の粒餡も程よい甘み。こだわりの北海道産小豆を使用した餡は、粒がしっかりと残っていて、小豆のおいしさはもちろん、香りも存分に楽しめます。水分量もちょうど良いので、カステラ生地と一緒に食べてもパサつくことがありません。
そしてやはり特筆すべきはお餅。モチモチした食感は、通常のどら焼きにアクセントを加えてくれますが、不思議と相性が良いのです。この餅のおかげで、どら焼き自体を長く口の中で楽しむことができ、食べ応えや満足感もグッとあがります。滋賀県で収穫された滋賀羽二重糯(しがはぶたえもち)というもち米を使用し、素材にもこだわっているとのことですが、納得のおいしさでした。
たねやの歩みと革新
1872年(明治5年)に滋賀県近江八幡市で創業したたねやは、言わずと知れた老舗和菓子舗です。名前の由来は菓子舗の前に穀物や根菜などの種を売る仕事をしていたことから。お菓子を扱うようになっても地元の人々からは変わらず「種屋」という愛称で親しまれていたそうです。「地元の人からつけてもらった名前だから大事にしよう」と今日まで「たねや」として歩みを進めています。
たねやは老舗和菓子店ですが、変化や革新を厭いません。時代のニーズを敏感に感じ取り、その時々で必要な変化を遂げてきました。その一つがあくなき商品開発。王道の和菓子から西洋の要素を取り入れたものまで、既成概念にとらわれないお菓子はどれも新鮮さをもって受け入れられています。最近ではオリーブオイルをかけて食べる「オリーブ大福」なども話題になりました。
和菓子店でありながら洋菓子作りにも積極的に取り組み、1951年には洋菓子部門が独立。バームクーヘンで有名な「クラブハリエ」が誕生しています。クラブハリエについては、以前KURAFTでもご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
そして、たねや・クラブハリエには優秀な職人が多数在籍していることでも知られています。その代表格が四代目を務めるたねやグループCEO山本昌仁氏。三代目山本徳次氏の長男として生まれた昌仁氏ですが、世襲でありながらもその立場に甘んじることなく、職人として厳しい修行を重ね、確かな腕を身に付けました。24歳の時には、4年に一度開かれる「全国和菓子大博覧会」で、最高賞の「名誉総裁工芸文化賞」を史上最年少(当時)で受賞するなど、経営者としてだけでなく、職人としても一流なのです。
五感で味わうお菓子の楽園「ラ コリーナ近江八幡」

さらに、たねやグループで特筆すべきは「ラ コリーナ近江八幡」という施設。2015年、敷地面積3万5千坪、東京ドーム2.3個分という広大な土地に作られたたねやグループの全商品が楽しめるフラッグシップ店です。小川や田んぼなど、日本の原風景を再現した緑あふれる敷地内には、モダンなデザインのお菓子工房やカフェ、ギフトショップなどが点在し、五感をフルに使って楽しめるお菓子のテーマパークとなっています。
「自然を愛し、自然に学び、人々が集う繋がりの場」として作られたこちらの施設。2023年にはついに来場者数が400万人を突破、8年連続で滋賀県ナンバーワンの観光スポットとなっています。
未来へつなぐ和菓子づくり~たねやのSDGs~
たねやグループは、いち早くバリアフリーやSDGs等の社会課題にも取り組み、行動を起こしてきました。2017年には「たねやグループSDGs宣言」を発表し、自然や地域との共生を目指す姿勢を明確にしています。
子どもたちが「近江八幡に生まれて良かった」といえるように、そして100年、150年先の未来がより良いものとなるようにと、常に考えて行動に移すその姿は、和菓子舗の域を越えて多くの賛同の声を集めています。
「福」を味わう贅沢
たねやの福どらやきは、ただの和菓子ではありません。職人の技、滋賀の風土、そして「福」を届けたいという想いが一体となった、物語のある一品です。伊勢丹新宿店という特別な場所で出会える限定商品は、手土産としても、自分へのご褒美としてもぴったり。老舗でありながら革新を続けるたねやの姿勢は、和菓子の枠を超えて、私たちの暮らしに豊かさと余韻をもたらしてくれます。次に誰かに「福」を届けたいとき、思い出してほしい和菓子です。
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もっと知りたいあなたへ
たねや公式HP
https://taneya.jp/