「朝市に行こう!」人々との交流も楽しい各地の朝市をご紹介
朝市とは、地元の新鮮な食材や手作りの工芸品などが集まり、その地域の文化や生活の一部を体験できる貴重な場所です。観光朝市として有名なものから、生活になくてはならない地域に根ざしたものまで、朝市は日本各地に数多く存在しています。訪れる人々を魅了してやまない主な朝市をご紹介します。
日本三大朝市をチェック!

「日本三大朝市」をご存知でしょうか。これらは押しもも押されぬ人気の朝市で、その地域を訪れる目的となっている人もいるほどのものです。それぞれ異なる文化を持ち、新鮮な食材や特産品、場所によっては工芸品までもが並ぶ魅力的なスポット、それが日本三大朝市です(ただし、三大朝市として選ばれるところが各所違うこともあります)。
- 輪島朝市
石川県の能登半島に位置する輪島市で1200年続くといわれる輪島朝市。日本海に面している土地柄、特に海産物が豊富です。新鮮な魚介類やそれを使った塩辛や干物などをはじめ、「輪島塗」などの工芸品までもが揃い、観光客や地元の人々で賑わう朝市でした。しかし、2024年元旦に発生した能登半島の大地震によって輪島市内は壊滅的な被害を受け、2025年8月現在、元の場所での朝市は開かれていません。現在は、同市内の商業施設を中心に、各地で組合の人たちが「出張朝市」を開催するなどして復興に向けたさまざまな取り組みを行っています。
- 宮川朝市
岐阜県高山市で開かれている宮川朝市は、150年以上の歴史を持ちます。毎朝早くから開かれ、新鮮な地元産の野菜や山菜などの山の幸、手作りの漬物や花などを売る店が宮川沿いにずらり700メートルほど並びます。地元の農家から直接購入する朝採れの新鮮な野菜は夏場の大人気の商品。毎回決まった人から買うという人もいるほど、常連さんも多い朝市です。
- 勝浦朝市
千葉県勝浦市の勝浦漁港は、日本でも有数の漁港として知られる場所。それゆえに勝浦朝市では、毎日朝獲りの新鮮な魚介類が並ぶのが最大の特徴です。430年前から続く「生活朝市」として、現在まで変わらず賑わう勝浦の朝市には、魚介類だけでなく、房総の温暖な気候を活かした野菜や、パン、はちみつなど、多種多様な商品があります。値段もお手頃で、地域の人との交流もあり、活気に溢れた朝市の雰囲気を存分に味わえます。
震災からの復興途上にある輪島朝市については、当時と異なる形での開催となっているものの、1日も早い完全再開を願い、変わらぬ日本三大朝市の一つとして紹介しました。
全国の魅力ある朝市(関東以北編)
三大朝市の次は、全国各地の魅力ある朝市をエリアごとに見ていきましょう。今回は北海道から関東エリアまでをご紹介します。
- 北海道エリア

北海道といえば、やはり海鮮!地元で獲れた新鮮な海産物が揃う朝市が多数あります。代表として、石狩市の「いしかり湾漁協朝市」をピックアップ。北海道の観光シーズンの4月から7月中旬まで開かれているこの朝市では、カレイやタコ、ホタテ、ウニなど、北の海で採れる海産物が販売されています。また、北海道といえば農業も盛んな地域。地元の農家が持ち寄る野菜や果物も人気です。
函館市の「函館朝市」は、海鮮好きなら知らない人はいない朝市でしょう。戦後の闇市から始まり、今では約250店舗が集まる北海道の名所となりました。新鮮なカニやウニなどが並び、これらをふんだんに使った海鮮丼は観光客の人気を集めています。
- 東北エリア

東北地方には伝統的な朝市が多いのですが、青森県八戸市の「館鼻(たてはな)岸壁朝市」に注目してみましょう。日曜の朝だけ、800メートル、およそ300店の巨大な朝市が開かれています。やはり八戸の新鮮な魚介類が手に入るほか、県内の各所や岩手県北からのお店も出店しているため、色々な品が並んでいます。また、ラーメンやコーヒー、そば・うどんなど、軽食の充実も特徴的で、早朝からの賑わいが楽しめる朝市です。
もう一つ、宮城県仙台市の「仙台朝市」もぜひ訪れたいところです。JR仙台駅から徒歩5分、ビルに挟まれたエリアの商店街が朝市の場所。朝市通りにはお惣菜を売るお店もあり、おやつや新幹線のおともにもなりそうです。秋から冬にはブランド魚の「金華サバ」が並び、手頃な価格で手に入れることができます。
- 関東エリア

神奈川県三浦市の「三崎朝市」は、新鮮な三崎マグロを楽しめることで有名。マグロだけでなく海産物はもちろん、三浦半島の新鮮な野菜や花、地玉子なども充実しています。東京からのアクセスも良いため、天気の良い日は大賑わいです。また、小田原市にある「小田原・港の朝市」は、まだまだ観光客に知られていない、地元の台所とでもいうべき朝市。地元の人に混じって、朝獲れのアジやサバのなど人気の魚をゲットしたり、地元民オススメ、人気の揚げたて天ぷらを味わってみるのも良さそうです。
地元の魅力を伝える場へ出かけよう
朝市は、ただ新鮮な食材を販売するだけでなく、地域の食文化を支え、食に関わる歴史までもを伝える重要な役割を果たしています。地元の生産者と消費者が直接つながることで、生産者の顔が見え、商品への信頼が生まれる場所ともなっています。
また、地方創生の視点から見ると、朝市は地元の魅力を伝える場としても機能しています。多くの朝市では、季節ごとに祭りやマルシェが開催され、訪れる人々に地域の文化や伝統を体験する機会を提供しています。例えば、地元の食品や郷土料理を味わってもらったり、伝統工芸品のワークショップで地域の魅力を感じてもらったり。こうした工夫は、多くの自治体や朝市が取り組んでいます。
最後に、朝市を訪れる際の注意点をお伝えしておきましょう。朝早くから始まるため、早起きして向かう必要があるのは当然ながら、天候や季節によっては、開始時間や出店数が変動する場合もあるため、事前に情報を確認しておくことが大切です。地方では移動が不便な場所も多くなります。交通手段もしっかりと計画し、めいっぱい朝市を楽しんでください。
朝市が伝えるもの

日本の朝市は地域の人々とのふれあいや、新鮮な食材を手に入れる絶好の場所であり、日本各地の豊かな文化を体験する機会でもあります。ここで紹介した朝市以外にも、魅力あふれる市場や朝市は数多く存在します。
次の休暇には、ぜひ近くの朝市を訪れて、新たな発見を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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もっと知りたいあなたへ
輪島市朝市組合
https://asaichi.info/
飛騨高山宮川朝市協同組合
https://www.asaichi.net/
勝浦市観光協会
https://www.katsuura-kankou.net/asaichitop/
いしかり湾漁協朝市(北海道石狩市公式ホームページ)
https://www.city.ishikari.hokkaido.jp/kanko/kau/1005270.html
函館朝市オフィシャルサイト
https://www.hakodate-asaichi.com/
館鼻岸壁朝市
https://minatonichiyouasaichikai.com/
仙台朝市商店街振興組合
https://sendaiasaichi.com/
三崎朝市協同組合
https://misaki-asaichi.com/
小田原・港の朝市(神奈川県小田原市公式ホームページ)
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/industry/fisher/morningmarket/p14096.html