ふるさと納税コレにしよっ(3)入手困難なレインボーラムネ〜奈良県生駒市〜

2008年(平成20年)から始まった「ふるさと納税」制度。「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として広く利用されています。
そんな「ふるさと納税」で実際に寄付した自治体といただいた返礼品をご紹介する「ふるさと納税コレにしよっ」シリーズ、第3回は奈良県生駒市の「レインボーラムネ」です。
自然もアクセスも心地いいまち・生駒市

生駒市は大阪府、京都府と接する奈良県北西部に位置する市。生駒山(いこまやま・いこまさん)や矢田(やた)丘陵に囲まれ、自然豊かでありながら、市街地からは大阪難波まで約20分、本町まで約25分と大阪の中心地へのアクセスが非常によいため、ベッドタウンとしても人気です。人口は10万人を超えており、行政支援や市民活動が活発なことから、子育て世代からの支持も厚い、関西圏の注目都市のひとつに数えられます。
市名の由来でもある生駒山には、唐からやってきた病気の馬を放牧したところ元気になったので「生駒」と名付けられたという伝説が残っています。自然の豊かさが伝わるエピソードですが、現在でもハイキングコースが整備され、大勢の人がその美しい自然を楽しむ名所となっています。
近鉄生駒駅に隣接する鳥居前駅から生駒山上までは国内最古・最長のケーブルカーである「生駒ケーブル」が走ります。1918年(大正7年)に日本初のケーブルカーとして誕生した生駒ケーブルは100周年を迎えてなお現役。生駒山上にある「生駒山上遊園地」まで約2キロの急斜面を昇降しており、ケーブルカーの車窓から見下ろす市街地の姿は圧巻です。
また、生駒市は京都府に隣接することもあってか、、伝統的に竹で作られた茶道具が名産品として知られています。120本の細い竹ひごを使い、手作業で丁寧に作られる高山茶筅(ちゃせん)は、生駒市高山地区で500年以上の歴史を持ちます。そうした伝統工芸品に混ざり、新たな生駒市の名産品となっているのが、イコマ製菓本舗が製造・販売する「レインボーラムネ」。入手困難なことから「幻」と称されるこちらの商品を、今回はふるさと納税返礼品としてチョイスしました。
レインボーラムネの「まんまる」誕生秘話
奈良県生駒市でラムネ菓子の製造販売を行うイコマ製菓本舗。元々はラムネのキャラクター菓子などを請負製造していましたが、平口治社長の「オリジナル商品を作りたい」という熱い想いから試行錯誤の末に生まれたのがこのレインボーラムネなのだそう。
Jリーグが開幕し、ドーハの悲劇も話題になって空前のサッカーブームが巻き起こった1993年、「これからはサッカーの時代だからサッカーボールのようなラムネを作りたい」と思い立ち、開発がスタートします。
一般的なラムネ菓子が直径8~12ミリであるのに対し、平口社長の作るレインボーラムネは直径20ミリ。当時は丸型のラムネ自体が珍しく、このサイズでまんまるのラムネ型は、馴染みの型屋さんでも簡単に作ることはできなかったといいます。しかし粘り強く研究と交渉を重ね、数年がかりで完成させました。
「幻」と呼ばれる理由
発売からしばらくの間はなかなか売上が伸びなかったというレインボーラムネ。しかし、口にした近所の方の口コミがインターネットで広がり、徐々に人気が出ます。朝9時からの店頭販売に5時から並ぶ人も現れ、人気と行列は拡大していく一方。大きな駐車場のある会場を借りての直売を実施したこともあったそうですが、レインボーラムネを買い求める人の車が駐車場から溢れ、近隣に大渋滞ができてしまったというから驚きです。
しかし驚くべきことはまだまだ続きます。しばらくの間は年に2回のはがきによる抽選販売を行っていたそうですが、応募期間わずか5日間にも関わらず、最大14万通の応募が殺到したそうです。購入権を獲得できる当選者は1回の抽選で3500名とのことですから、かなりの激戦であったことが伺えます。2020年からは生駒市のふるさと納税返礼品に採用されましたが、こちらも大人気で1000セットが最短8分で売り切れてしまったこともあるそうです。
こうした入手困難な状況から「幻」と呼ばれているのかと思いきや、実はもう一つ、幻たる所以がありました。
それは2008年、レインボーラムネが店頭販売やはがきによる抽選販売で人気を博していた時のこと。店主である平口社長が大病を患い、販売がストップしてしまった時期があるのです。一時は廃業も考えたという社長ですが、入院・手術を経て無事に回復。「いつまでも待っています」というお客様からの手紙に励まされて事業を再開されたそう。この経緯から、今食べられるのは奇跡であり、「幻」のお菓子と呼ばれているのです。
2025年現在、イコマ製菓本舗では諸般の事情により店頭販売や抽選販売を辞めてしまったそう。そのため、生駒市のふるさと納税返礼品としてしかレインボーラムネを手に入れる方法はありません。数量限定・期間限定なので、貴重であることには変わりありませんが、タイミングよく寄付申請を行えば確実に手元に届きます。
唯一無二のサク・ホロ食感

実際に食べてみると、外側はサクサク、内側はホロっと柔らかい食感。ピーチ味が優しく、一般的なラムネよりも酸味は控えめです。どこか懐かしいのに新しい、大人も子どもも癖になる味でした。かじって食べてサク・ホロの食感の違いを楽しむのも一つですが、口に含んだまま自然に溶けるのを待つのもおすすめ。ジュワっと溶けてラムネの甘みが口いっぱいに広がり、じっくりとその味を楽しむことができます。
北海道産のビートグラニュー糖にコーンスターチを合わせて作ったパウダーをアラビアガムで固め、香料やクエン酸を加える——というとシンプルな原料と製法に聞こえますが、平口社長しか知らない特別な製造工程があり、それが唯一無二の食感を生み出しているのだそうです。生産量は限られてしまいますが、一粒一粒が愛情を込めた手作りだからこそ、温かみが宿っているのです。
たっぷりのレインボーラムネが詰まった大箱のものもありますが、おすすめは1箱77g入りのプチ箱。今回編集部ではプチ箱8箱セットを注文しましたが、ちょっとしたプレゼントにピッタリのサイズで編集部内でも大好評。小さなお子さんのいる方にもプレゼントしたところ、大変喜んでもらえました。一人でじっくり楽しむもよし、家族や仲間とシェアするもよし。箱も商品も色鮮やかでかわいらしいので、盛り上がること間違いなしですよ。
「今」と「昔」の心地よい共存
今回ご紹介した奈良県生駒市は昔ながらの自然と近代的な利便性が混ざり合うまち。生活に便利な部分は発展しながらも、日々の癒しとなる場所は昔ながらの姿を残して息づいています。レインボーラムネも、その見た目や味わいは新鮮さを持っていますが、作っているのは昔ながらの製法を大切に守る老舗の製菓店。こうした新旧の調和が自然と生まれるまちなのかもしれません。
また一つ、素敵なまちと出会いました。次はどんな旅となるでしょうか。今からとても楽しみです。
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もっと知りたいあなたへ
生駒市公式ホームページ
https://www.city.ikoma.lg.jp/