2025.8.14

ふるさと納税コレにしよっ(1)城と清流と旬野菜で魅了〜福島県棚倉町〜

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2008年(平成20年)から始まった「ふるさと納税」制度。「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設され、今では広く世間に定着しました。

各自治体がバラエティーに富んだ返礼品を揃え、「今年はどの自治体に寄付をしようか」と考えるのを楽しみにしている方も多いことでしょう。

KURAFT編集部ではそんな「ふるさと納税」にスポットを当て、編集部員自らが実際に寄付した自治体と受け取った返礼品を紹介しながら、各地の魅力をシリーズでお伝えします。

城下町の風情と豊かな土壌、福島県棚倉町

新シリーズの記念すべき第一弾は、福島県棚倉町(たなぐらまち)。

福島県中通り南部、栃木県、茨城県との県境に位置し、東白川郡に属するこちらの町は江戸時代には棚倉藩の城下町として栄えました。

福島県、栃木県、茨城県の三県にまたがるようにそびえる八溝山(やみぞさん)を源流とする久慈川と社川(やしろがわ)の清らかな水と内陸の温暖な気候は豊かな土壌を育て、「どんな凶作の年でも棚倉だけは稲穂が実る」と伝えられるほどだったといいます。

何が届くかはお楽しみ 返礼品に選んだのは旬の野菜セット 

自然豊かな棚倉町ならおいしい農作物がたくさんありそう——。

ということで選んだ返礼品は「旬の野菜詰め合わせセット」。中身はその時期の旬の野菜がおまかせで箱いっぱいに届くとのことでした。開けるまで中身がわからないなんて——楽しみすぎます!

そしてついに、インターネットでの注文(寄付申請)から1週間で待望の段ボール箱が到着しました。

いざ開封!

段ボール箱いっぱいに入ったふるさと納税返礼品の野菜の画像

ドキドキわくわくしながら開封してみると、本当に箱いっぱいの野菜が入っていました。

たくさんの野菜が、一種類ずつ丁寧に梱包されており、品種名と収穫日、生産者の方の名前が書かれたシールまで貼られています。箱詰めされた野菜を見ただけでも、生産者の野菜づくりへの愛情が感じられ、期待値はうなぎ上り。

さて、気になるラインナップはーー

エンツァイ、モロヘイヤ、おかひじき、オクラ、いんげん、モロッコいんげん、きゅうり、玉ねぎ、ナス、ノーザンルビー種のじゃがいも、しいたけ、坊ちゃんかぼちゃ、キタアカリの全13種類。どの野菜もツヤツヤで新鮮そのもの。獲れたてがすぐに配送手配されたのがその姿から伝わってきます。

さらに嬉しいのはどれも少量ではなく、家族で楽しめるぐらいの量が入っているところ。一般的にスーパーで売られているものの2倍ほどは入っていようか、という量です。想像以上の種類と量の新鮮野菜が到着しました。

知られざる逸材揃いの棚倉野菜

籠に盛られたおかひじき、モロッコいんげん、エンツァイ、オクラ、きゅうりの画像

大半が普段からよく口にする野菜なので使い勝手がとても良さそうですが、程よく見慣れない野菜も混ざっています。今回送られてきた野菜をいくつかご紹介しましょう。

エンツァイ

東南アジア原産、ヒルガオ科の一年草。ビタミンA、B、C、カルシウム、カリウム、食物繊維などを豊富に含み、栄養価が高い。「空芯菜」や「アサガオ菜」などとも呼ばれる。茎の内部が空洞になっているので、シャキシャキの食感を楽しめるよう、ニンニクなどと一緒に軽く炒めて食べるのがおすすめ。

モロヘイヤ

茹でて刻むと独特のぬめりが出る夏野菜。β-カロテン、ビタミンB、C、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれる。味に癖がないので食べやすく、スープやお浸し、和え物、炒め物などさまざまな料理で楽しめる。

おかひじき

山形県置賜(おきたま)地方原産の伝統野菜。アカザ科の一年草で、β-カロテンやビタミンC、カルシウムなどが豊富に含まれる。海藻のひじきに似た見た目から名付けられた。生でも食べられるが、軽く茹でるとアクが取れてより食べやすい。

モロッコいんげん

ヒラサヤインゲンとも呼ばれる、平たく幅広のさやを持つ品種。一般的ないんげんよりも大きく、肉厚でシャキシャキとした食感が特徴。筋がほとんどないので筋取りなしで食べられる。和え物や炒め物もおいしいが、天ぷらにすると食感と甘みを楽しめるのでおすすめ。

ノーザンルビー

2006年に名前が登録された、北海道生まれのじゃがいも。アントシアニンという色素を含んでいるため、皮も果肉もピンク色で一見するとサツマイモのように見える。サイズや形は「メークイン」に似た長い楕円形で、食感はしっとりしているため、なめらかな口当たりを楽しめる。

おかひじきナムルで味わう棚倉野菜の「旬」

中でも編集部でひときわ注目を集めたのが「おかひじき」という野菜。ほぼ全員が初見だったこちらの野菜を簡単に調理して食べてみました。

おかひじきのナムルを白いお皿に乗せた画像

5センチほどに切ったおかひじきをたっぷりのお湯でさっと茹で、冷水につけて水気を切った後に、適量のごま油と顆粒の鶏ガラスープの素、塩と白ごまで和えただけの簡単レシピです。

自画自賛ですが、これが実においしかったのです。シャキシャキの食感が心地よく、えぐみや癖がない食べやすい味でした。ごま油との相性も抜群で、副菜としてはもちろん、お酒のつまみとしても重宝しそう。

今まで自ら購入したことはありませんでしたが、今度見かけたらぜひ購入しよう、と思える野菜でした。こうした新たな出会いがあるのもふるさと納税の楽しいところですね。

他の野菜も、中華炒めにしてご飯と一緒に食べたり、素揚げにしてカレーのトッピングにしたり、さっぱりとお漬物にしたり——私たちのオフィスにはキッチンがあり、たまにランチや夕食をみんなで作って食べることがあるのですが、棚倉町の野菜たちは、数日にわたって編集部の賑やかなランチタイムを彩ってくれました。

城下町と季節の移ろい 桜と紅葉が映える棚倉城跡

返礼品に同封されていた棚倉町の各種パンフレット

さて、この野菜たちの出身地である福島県棚倉町といえば、かつては棚倉城があった場所。歴史やお城の好きな方なら、耳なじみのある土地かもしれません。

棚倉城は1625年(寛永2年)、幕府の命を受けた棚倉藩主「丹羽長重」によって築城され、1868年(慶応4年)の戊辰戦争で落城するまでの約240年間、16代の城主が居城しました。お堀に住む大亀が浮かび上がって水面に姿を見せると、決まってお殿様が転封されたという言い伝えから、別名「亀ケ城(かめがじょう)」とも呼ばれているそうです。

城そのものは戦火により消失してしまいましたが、現在も国指定史跡「棚倉城跡」としてお堀や石垣などは当時のまま残され、本丸跡は「亀ケ城公園」として町民の憩いの場になっているのだとか。

そしてさらに棚倉城跡は、自然の美しさでも目を見張るものがあります。春にはソメイヨシノがお堀を囲むように咲き誇り、秋には土塁の紅葉がお堀の水面に映って優美な姿を見せてくれるのとのことですから、2025年に築城400年の節目を迎えた歴史ある史跡、ぜひ一度訪れてその景色や歴史の足跡を楽しんでみたいものです。

紅葉の美しい秋の棚倉城跡の画像

棚倉町にはほかにも由緒ある寺社仏閣が多数あり、その街並みは「東北の小京都」と称されます。また、町営の山本公園内にはヤマメの泳ぐ清流が流れ、綺麗に整備されたキャンプ場はバーベキューも楽しめることから家族連れにも人気のスポットとなっています。

東北の入口である棚倉町は、城下町の面影を残す町並みと豊かな自然が共存する癒しスポット。東京から車や新幹線で約3時間ほどの距離なので、ちょっとした旅行にも最適ですね。

ふるさと納税体験で見えた、新しい魅力

「ふるさと納税」はその名の通り、生まれ育った場所や縁のある自治体を応援しようという気持ちで寄付をするのが正しいのかもしれません。しかし、最初は「返礼品に惹かれて」という理由であっても、ふるさと納税を通じて知らない土地と出会い、そのまちのことを知りファンになっていくといったことも多々あるはず。これもふるさと納税の楽しみであり、魅力であるとわかりました。

今回出会った福島県棚倉町の野菜たち。返礼品から伝わる自然の豊かさや作り手の温かみとものづくりへの愛情、そして歴史の壮大さ。その全てが魅力を感じるものでした。そのまちを知れば知るほど、歩いてみたいという気持ちが芽生えてきます。旬の野菜が運んできたのは、棚倉町という「まだ知らないふるさと」でした。

さて、次はどんなまちと出会えるだろう——そんな楽しみを胸に、新たな旅を始めます。

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もっと知りたいあなたへ

福島県棚倉町 公式ホームページ
https://www.town.tanagura.fukushima.jp/

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