2026.1.5

縁起物「福茶」とともに迎える、心も新たに始まる2026年

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新年明けましておめでとうございます。

2026年、令和8年、午年の新たな年が始まりました。KURAFTは本年も、さまざまな形の「日本のたからもの」を多くの皆さまにお伝えしてまいります。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

福茶、または大福茶と呼ばれる「お正月に飲むアレ」

私の家では代々(というほどの家でもないのですが)、元旦には家族が顔を揃え新年の挨拶をする際に、必ず出てくるものがあります。それが、福茶または大福茶(おおふくちゃ)と呼ばれる縁起物のお茶です。

「お福茶」と丁寧に「お」をつけて呼んでいたこのお茶。子どもの頃から甘さよりも塩気の強い味わいが好きだった私は、このお茶が大好きでした。「しょっぱいお茶?」と思われるかもしれませんね。そうなのです。このおめでたいお茶は、お茶というよりもお吸い物に近いような味わいなのです。

福茶が茶托の上に載った画像

福茶の材料は、次の3つ。それぞれに言葉に掛けた理由があります。

・黒豆:まめに(元気に)働く、暮らす

・結び昆布:よろこぶ

・梅干し:しわが寄るまで(長寿)、めでたい松竹梅の「梅」

これらを湯呑みに入れ、私の家では高温で濃いめの煎茶を注ぎます。家庭によっては、ほうじ茶や白湯を使う場合もあるそう。お正月にしか出てこない金縁の、縁起の良い絵柄の描かれた客用の茶器で供されるこの福茶は、私にとっては幼い頃からのお正月の味。子どもの頃には正しい名前を覚えられず「お正月に飲むアレ」とか「あのしょっぱいお茶」などと言っていたものです。

福茶の歴史と由来、飲むタイミング

この福茶、いつからお正月に飲まれるようになったのでしょうか。

諸説ありますが、平安時代、京の都で疫病が大流行した際に、空也上人(くうやしょうにん)が仏前に献じた茶に梅干しを入れて病人に振る舞ったところ、それを飲んだ人が治り、疫病が鎮まったという故事が始まりとされています。その後、村上天皇がその吉例に倣い、このお茶を元日に飲むようになり、一般の民も同じように元日に飲むようになったという話が伝わっています。

六波羅蜜寺の扁額の画像

空也上人が六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)を開いたのは951年(天暦5年)。つまり、1000年以上の長きに渡り、縁起物として飲まれているのが福茶なのです。

福茶には一年の邪気を払うという意味が込められており、村上天皇に倣い、ではありませんが、元日の朝、つまり元旦に幸福を願い家族で飲みます。三が日に来客があった時に福茶を出すこともあります。また、節分にも豆まきに使った炒り大豆(福豆)を3粒入れて飲む習慣があり、いずれも「新しい年」の邪気を払い幸福を願うタイミングとなっています。

空也上人ゆかりの寺、京都の六波羅蜜寺では、正月三が日に皇服茶(おうぶくちゃ)という名前で、福茶を参拝者にお札とともに授けています。私もいつかのお正月にはいただきに上がりたいものです。

2026年は、世界銀行のレポートにまで名が挙がる丙午!

今年は丙午(ひのえうま)の年。丙午とは干支の一つですが、「丙午年生まれの女性は気性が激しい」という迷信があります。もちろん科学的な根拠があるものではないのですが、長らく世間に広まってきたため、丙午には、特に高齢者においてネガティブな印象を持つ人も少なくありません。

その迷信について少しだけ見てみましょう。

江戸時代初期にあった「丙午の年には火事が多い」という迷信が、「好きな男に会いたいばかりに町に火を放って火刑に処された」八百屋お七の生まれが丙午だとされたことから、女性の結婚に関する迷信に形を変えて広まっていったといわれています。

もっともこの話、数え年と満年齢の違いもあり、年齢の計算が合わないことなど、当然ながら根拠はありません。ところが、明治時代以降もこの迷信が続き、丙午の1906年(明治39年)の出生数は前年よりも4%も減少したのだとか。私も明治43年生まれの祖父から、「丙午に生まれた近所の女の子は届を翌年に出した」という話を聞いたことがあります。

出生届の画像

また、丙午の女性の縁談が破談になったりすることもあったそうで、なんとこの迷信は1966年(昭和41年)の丙午にまで及んでいたことを知ってびっくりしました。この1966年生まれの女性の友人や先輩を持っている私、どの方も気性が荒くもなく、幸せな結婚や出産を経験されたり、社会的に高い地位に就かれたり、ご自身の人生を楽しんで生きている方ばかりだということを思い返し、くだらない迷信に囚われる時代はとうの昔に終わったのだと実感できました。

そして今年、2026年(令和8年)の丙午について、世界銀行が面白い発表※をしています。世銀はこの「丙午トレンド」は継続しない、としているのです。世銀にまでレポートされる丙午、大変厄介なものでしたが、もうそんな迷信はものともしません。

※The curse of the Fire-Horse: How superstition impacted fertility rates in Japan (https://blogs.worldbank.org/en/opendata/curse-fire-horse-how-superstition-impacted-fertility-rates-japan)

さらに、2024年には政府も「国立社会保障・人口問題研究所が公表している2026年の日本の将来推計人口の推計値は丙午の影響を考慮しておらず、こども未来戦略でも対策は取っていない」としています。つまり、丙午の迷信の影響などは受けないということ。当たり前のことながら、良かった!という気持ちが満ち溢れるのは、私も年をとった証拠でしょうか。

福茶の味と、新年の抱負

1年のカレンダーと手帳とペンの画像

子どもの頃は元旦に飲んだ福茶ですが、遅くまで起きていることを許されるようになった高校生ごろから、年が明けた午前零時過ぎに飲むようになりました。

新年に初めて汲む水を「若水」といい、その水を沸かした湯で福茶を淹れる——この時、「今年は何をしよう」「どんな年になるだろう」と考えながら飲むのを習慣としていました。今年の私が福茶の味とともに考えたことは、やはりKURAFTのこと。

今年はKURAFTにとっては2年目となる年です。新緑の頃には、2回目の季節を巡り始めます。昨年に築いてきた土台をさらに強固なものにして、その上に立つバラエティ豊かなコンテンツをさらに育て上げること、ものづくりと地方創生の情報発信を柱に、ニューロダイバーシティや復興支援のプラットフォームとしてもしっかりと機能させること。そしてオフラインでの事業(KURAFTストア)や英語版のローンチといった新しい展開も進めていくこと。

魅力ある記事をコンスタントに掲載することをベースにしながらも、たくさんの新しいチャレンジが待っています。KURAFT編集部一同、昨年以上に良いものお届けできるように気を引き締めて臨みます。来年のことをいうと鬼が笑うといいますが、来年の福茶を飲むときには2026年を誇りに思えるような一年にしたいと願っています。

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もっと知りたいあなたへ

コトバンク デジタル大辞泉「福茶」
https://kotobank.jp/word/%E7%A6%8F%E8%8C%B6-617440
六波羅蜜寺
https://rokuhara.or.jp/

本記事は筆者の見解・体験に基づくものであり、一部一般的な情報や公開資料を参考にしています。

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